象の耳 歩み

第2章~17話:転機

当時、私は材料の粉をネット通販で購入していたのですが、そのサイトに入会する際に個人情報の記入で職種欄を「パン屋」と登録していました。

その登録欄を見たそのサイトの会社の営業の方が、うちを町にある普通のパン屋さんだと勘違いしたらしく卸し商品の紹介の電話を突然してきたのです。

「作る手間が大幅に省ける○○製法の生地を取り扱う事になったので、お店で扱ってみませんか?」

○○製法。はじめて聞く製法です。
普通のパンというものは、
1:生地をミキサーで捏ねて、
2:発酵させ(1回目)、
3:作りたい形に整え、
4:また発酵させ(2回目)、
5:最後に焼いて完成となるのですが、

この営業の方が電話してきた○○製法のパンは、
1:届いたパンにある事をします。
2:焼いて完成!
となるので確かに大幅に作る手間は省けそうです。

しかし、うちはパン屋じゃないし、普通のパンを扱う訳にもいかないのでお断りしつつ・・・

しかしその瞬間、今までの悩みが一気に繋がり頭の中で閃きが!

「あの~、○○製法的なパンを逆に作れるようになりたいのですが、どうしたら良いのでしょうか!?」

すごく無茶だととわかりつつ、駄目元でくらいついてみました。

当然、その電話の主は当然、

「・・・・・・」

となったのですが実は自分は町のパン屋ではなく、車1台で揚げパンを売っているしがない業者で、そして今はこんな悩みを抱えてるのです!
と、延々と心の憂さを晴らすがごとく喋り倒し、今の私を救えるのは○○製法しかないのです。だから○○製法を勉強したい!とゴリゴリのゴリ押しで攻め続けると・・・

「・・・・では、ちょっと心当たりがあるので・・・当たってみましょうか・・・」

なんて、素敵な事をおっしゃってくれたのでした!

そして翌日、その方から本当にお電話がありF社の方に話してみたら興味を持ってくれたので直接その方とお話してみて下さい。とそのF社の方の連絡先を教えて下さったのでした。

ちなみにこのF社とはパン製造の会社ではなく製造用の機械を販売している会社でした。

こういうメーカーさんは最後はうちで機械を買ってよねって事で様々なお手伝いをして下さったりするみたいなのです。

早速、そのF社の方にお電話をさせて頂き自分はこんな商品を販売しているのですが行き詰まっていて・・・という話をしたのですが、会話のやりとりでこの方がパンの製法に物凄く精通している事がわかりました。

それはそうだ。今までに多くのパン屋やパン工場へ行きそこの弱点を見つけては知恵を絞りアイデアと自社の機械を売る事で弱点を克服し、そのお店の業績を上つつ自社の業績も上げて来た会社の営業の方なのですから。

つまりはプロ中のプロです。

そして「(当時の)象の耳」を食べた事がない為に、いまいち味と食感の検討がつかず打開策の提案が出来ないとの事なので、それならば是非、御試食頂けないでしょうか!?と話しを進め、お会いする約束をして頂けました!

独自の製法と思っているこのパンは、プロから見たらどうなのでしょう?

もしかしたら、あ!知ってますこの製法のパン!とか言われたらショックだな~とか思いつつ、その方にパクられたら嫌だから対策を考えたり色々しつつ翌週のその日を待つのでした。

つづく