象の耳 歩み

第2章~18話:炎天下の激闘

忘れもしない2005年のあの夏。

粉の卸会社の営業の方の紹介でお会いする事になったF社の方。
どんな方なのでしょう。

ついにお会いするその日が来ました。

事前にメールでやりとりはしていたので、その方のお仕事の御都合に合わせて桜新町という駅の近くで13時に待ち合わせをしました。

試食して頂く為に移動販売車に乗って桜新町へ向かい、そのF社のFさんとご対面。
物腰の柔らかい優しい感じの方でした。

さっそく試食して頂く事に。

車を停められそうな良い場所がなかったので、大通り沿いではありましたが道の端に車を止めフライヤーに火を入れました。
(当時は今とは製法が異なり、注文を受けたらお客様の目の前で生地を伸ばし揚げて提供、焼いてはいませんでした)

路上に車を停めている為、警察にもし営業していると勘違いされてしまうと(それは違法なので)油に火を入れたのに車を動かさなければならなくなってしまう為に、見つからないように窓を閉め油の温度が上がるのを待ちました。

お盆明けの真夏の13時。快晴の為、外は激しい炎天下。

車内の温度はどんどん上がり軽く45度を越えたあたりで、油はいつもの温度になったのですがスーツを着ていた為、すぐにYシャツが汗でびしょびしょの透け透けになってしまいました。

窓が開けられないのが本当にきつい。

油が温まったのでFさんに作り方を説明しながら(しかし警戒もしていたので話せる範囲内でのみ)生地を目の前で形作り、揚げて完成した象の耳を御試食頂きました。

「美味しいですね~」
そう褒めて下さったのを今でも覚えています。

で、すぐに色々伺いたい事はあったのですが、とにかく全てが暑すぎる為に避難も兼ねてファストフード店へ二人で逃げ込みました。

涼みながら今までの成り行きと、これからどうしたいか、そして何で詰まっているかを勢いにまかせて喋りまくりました。

お会いして数十分しか経っていなかったのですが、レシピや製法とか、この人になら話してしまってもいいや。
なぜかそう思えた為、全てを話してしまいました。
いや、話したというより全てをぶちまかしたに近いかもしれません。

初めて専門的な会話が出来る方とお話出来たのが嬉しかったのもありました。
とにかく今までの疑問を、悩みを、全てぶつけました。

製法に関しては、初めて見るし聞いた事もない製法との事。
ほっと胸を撫で下ろす!

今までに様々なパン工場を見てきたプロ中のプロが知らない製法だと言うのだから間違いないでしょう。
やはり象の耳の製法と同じ商品は恐らく相当の確立で日本には存在しないのです!

まあそれは良いとして問題はここから先です。

ここには細かく書けないのですが、いずれはフランチャイズ化してみたいのですが問題が山積みな事、そして目下の問題等をまくしたてるように伝えるとFさんはこう言って下さったのです。

「FC化とかに関しては専門外なので何とも言えないのですが、生地の改良と製法の改善にならお力になれると思います。弊社のテストキッチンで色々と試してみてはいかがですか?2時間位なら無料でお貸し出来ますよ。」

テストキッチンってどんな所なんですか・・・?と聞くと、

F社の機械に留まらず、他社の機械を含め様々な機械がそこそこの広さの所に沢山あり調理方法を研究する場所の事、らしいのです。

そんな場所を無料で貸して下さるなんて!

何か裏があるんじゃないか・・・と考えていると「その代わり色々とうまくいったら、うちから機械を買って下さいね。」

それが条件らしい。
もちろんですとも!
素晴らしいじゃないですか!!

こうして私はF社のテストキッチンが借りれる日までに、その2時間を少しでも有効活用が出来るようにする為に改良の仮説(もしこんな機械があったらこんな事を実験し、試してみよう!的な事)をたてて、その日に望んだのでした。

つづく