象の耳 歩み

第2章~21話:完全なる偶然の産物③

あの日の出来事は色々な意味で鮮明に覚えています・・・
凄く強い雨が朝から降っていた日でした。

・・・そして話は二度目の実験の為にF社へ向かう数日前に戻ります。

当時からブログとHPを多くの友達に助けてもらいながら、なんとか運営していたのですが、それをご覧になったある方から象の耳を売ってみたいからフランチャイズのようなシステムはないのか?と問い合わせを頂いたのでした。

いつかはやりたいな~位に思っていたFC(フランチャイズ)。

<<フランチャイズとは>>
<フランチャイズ本部は、加盟店から加盟金や毎月ロイヤルティを頂く代わりに、商品を販売するノウハウなどを伝え店舗を増やしていく仕組み。
加盟店オーナーが物件を借りる時の初期費用や工事費用、家賃等は捻出する為、本部は費用を支払う事なく店舗を増やしていく事が出来る。
例えばコンビニ、有名飲食チェーン店はFCである事が多い。
まったく専門的な知識や技術等がなくても店舗を開業できるのが加盟者にとっては最大のメリット。
直営店を増やしていくよりも早く展開が可能なので仕組みが出来上がれば多店舗展開が早く出来るのが本部にとってはメリット。>

どのお店に行っても同じ商品&サービスが受けられるという安心感、店舗が増える事による知名度アップ等、メリットも大きいが、
多くのFCは完全に商売のやり方をパッケージ化してしまう為、オーナーが言われた通りに営業すればいいから何も考えなくて楽。と考えるか、少しは自分の方針も店舗営業に生かしたい!と思うかで色々と難しい側面も持つ場合もある。
本部と加盟店でトラブルが多いとも聞くし・・・

移動販売車で様々な場所で営業していると他社のフランチャイズに加盟されている移動販売業者の方にも数多くお会いする機会がありました。
いつかはやりたいと思ってはいたので、その際に皆様のお話を聞いてみると声を揃えて言っていたのは~

・本部の言う通りに営業しなくてはならず、まったく自由が無い。
(成功例を元にフランチャイズ化するので加盟者に勝手な事をされたら困るからです)

・本部の指示に従って仕入れをしなくてはならない為、安い卸業者を見つけてもそこから仕入れる事が出来ない。
(勝手に違う材料を仕入れられて味が変わってしまったら大変ですから、ある意味当然です)

・本部から材料を購入しなければならず、非常に割高で買わされる。
(そうやって味がぶれるのを防いでいるのかもしれません)

・新メニューを思いついても本部から許可が降りない為に売る事が出来ない。
(それがまずかったらブランド力失墜ですからね)

・高額のお金を支払って車を購入し、確かに商品の作り方は教えてもらったが、本部の代わりに営業して売上の大半をロイヤルティとして本部にもっていかれてしまい、手元に残るのはわずか。これでは社員より酷い。
(だいたい本部が一番儲かるような仕組みに作られてますからね)

などでした。
はっきり言って加盟して良かったと答えている方は一人もいませんでした。
(しかし、加盟しなかったら開業まで果たして一人で漕ぎ着けられたのでしょうか!?という疑問も残ります。)

なので、自分がフランチャイズ本部をやる時は上記のような事はやらず、もっと加盟して下さった方にも喜んで頂けるような仕組みを作ろう!そう決めていました。

ですがそれは、いつか出来たらいいな。位で考えていたので仕組みの概要すら出来ていません。
しかし・・・実際に問い合わせが来てしまいました!

実際問題としてFCを開始するには、たぶん3つの要素が必要と思われます。

1、まず商品そのものに独自性がないと、あまり意味がない。
(何処のお店に行っても買える商品では、FCをやりたがる人はいないだろうし)

2、例えば・・・作れるようになるまで10年修行しないといけないようでは、たぶん誰もやろうとは思わないでしょう。
→作業が単純じゃないとアルバイトやパートさんを雇って店舗をどんどん増やしていく事が出来ない。
だから仕込みを含めて、作るのがある程度簡単じゃないとダメなんじゃないか。

3、そして最後に誰が作っても同じ象の耳が作れないといけません。じゃないとお店ごとに味が異なる商品が出てきてはFCの意味がないし。

しかし今までの象の耳では生地を捏ねたり延ばしたり、更に生地の発酵具合の見極めも出来ないとダメなので、多くの技術と経験が必要となります。
研修という名目で修行してもらえば出来なくはないですが、ちょっと現実味が薄い。これじゃあ到底FCなんて無理!

しかし、F社での1回目の実験でこれらをクリア出来る糸口を見つけたのです!
それが何かは企業秘密という事で。。

そう、F社での二回目の実験が成功すれば、上記の3点が一気にクリア出来るのでは!?
「今までの生地の欠点の克服」と「FC開始」の2つが同時に手に入るかもしれないのです!

そんな都合の良い製法があるのか!?
あるんです!

あの苦し紛れに思いついた方法なら出来てしまうかもしれないのです!

そして先程の象の耳のFCをやりたいという方とはメールで頻繁にやり取りをしていたので正直に現状は伝えていたのですが、二回目の実験の結果次第では、もしかしたらFCを始められる可能性が生まれるかもしれません。という内容を伝えると、F社での実験の後に会いませんか?とのアポイントを頂く・・・

なんだこの展開は。

そんなこんなでF社での二度目の実験の日。
午前中に1時間だけ実験室をお借りし、午後にはそのFC希望の方とお会いする段取りとなりました。

今回は申し訳ないのでスタッフさんはいりません、と伝えていたのですがFさんが「それじゃあ、機械を動かせないでしょ・・・」と気を使って下さり今回は2名スタッフの方をつけて下さりました。

お金を一銭も払っていないのに本当に有難いのやら申し訳ないのやら色々うまくいったら機械は今後F社から全て購入しよう。そんな事を思いつつ実験開始!

今回ははっきりと何をするかが決まっていたので嫌な汗をかく必要もなく(笑)
頂いた時間を有効的に活用する為に前もって決めた段取り通りに実験を進めました。

要は不思議なオーブンと機械Xとあれをあれした融合技が功を成すかなのですが、予想通り!私の目論見は当たり、実験開始20分後にはその時に抱えていた問題のほぼ全てを克服した「新しい象の耳」が

ついに!
ついに!
ついに!
ついに!
ついに誕生したのでありました!

本当はこの時の状況を詳しく書きたいのですが、あんまり詳しく書くと生地と製法の秘密に触れる事になってしまうのでこんな感じでお許し下さい。

なんだこの食感は?
前のより全然美味しい!
焼いて油が飛ぶから全然油っこくない!
焼いているからサクサク度がアップしてる!!
そして・・・簡単に誰でも作れるし数倍も早く作れる!!
今までがバカらしくなる位に簡単じゃないか!!

この作り方ならば、工場(仮)で揚げてから機械Xである事とある事をしてから特殊○○保存。←ここまでが工場のお仕事。

特殊○○保存のまま店舗に配送し、店舗側は特殊○○保存庫に入れて保存。

店舗側はお客様から注文を受けたら予熱した不思議なオーブンに90秒入れておくだけで完成!
凄く作るのが簡単!
不思議なオーブンには生地が8枚位は入るので90秒で8枚焼けます。

初期の象の耳は1枚揚げるのに3分だったので8枚揚げるのに単純計算だと24分。
新しい象の耳は8枚でも90秒!
16倍早く作れるようになりました!!

あと工場で揚げてしまうので移動販売車や店舗では油は使いません!
注文を頂いたら○○保存状態の生地をオーブンに入れてボタンを1つ押すだけ!
素晴らしすぎるぞ新製法!これなら誰でも作れる!!
味のブレも一切無し!!

一気にフランチャイズが形となって見えてきました!
未来が一気に拓けた瞬間でした。

もがいて、あがいて、
じたばたして、
ようやくようやく見つけた新製法。

初めから無理だと諦めていたら絶対に見つける事は出来なかったでしょう。

見つけられる。
答えは必ずどこかにある。

そう迷わず信じ続けたらから辿り着けたのかもしれません。

色んな出来事が、そして、今までの全ての経験が収束して結実した瞬間だったと思います。

そんなこんなで皆様にお礼を伝えF社を後にし、FCやりたい!って方と大雨の中でお会いし結果を報告。

「FCが技術上、可能となりました!」
「本当ですか!?」

こうしてフランチャイズの仕組みが出来上がったら一緒に販売していきましょう!的な感じとなり、いつかの再開を約束し握手して解散。

新製法の開発成功により長い長いトンネルをやっと脱出する事ができました。
これでフランチャイズ化も現実味を増し、美味しくなり、提供時間も大幅に短くなり、冷めても前に比べれば随分と劣化が落ち、そして焼く事で油が飛ぶので大幅に油っこさが無くなりました。

もう完璧だ。
これで自分の人生は軌道に乗った!やっと大金持ちになれるぞ!と、この日はわ~いわ~いと浮かれまくっていたのを覚えています。

こうして自分は今度こそ、やっとスタートラインに立てたのかもしれません。

第二章<完>

つづく