象の耳 歩み

第3章~1話:「伝説の揚げフランク」誕生

奇跡的な流れでとうとう新製法の開発に成功し、欠点を大幅に克服し更に美味しくする事にも成功しました。

しかし・・・重要な事を忘れていました。
不思議なオーブンと機械Xが無いと、この新製法は成立しないのです!

機械Xがこれまた凄い値段なんですよ。
それだけ性能も凄いんですけどね。

しかし買うお金が全然ない!
借りるあてもまったくない!

じゃあ、どうすればいいんだ・・・?

考えても考えてもさっぱりわからない・・・またあの人に相談しよう!

こうして困った時の神頼み、以前にも何度も登場したI氏に相談をしました。

ざっくり書けば、機械Xは○百万円します。
貯めるのは非常に厳しいと言いますか・・・新製法による象の耳を一旦食べてしまった自分としては、これより大幅に劣るA製法の象の耳をもう売る気にはなれなかったのです。

機械Xを購入する為だけに、人様に全力で勧める事の出来ない象の耳はもう売れません。

I氏の回答は「貯めるのは難しくて、融資が駄目なら、出資してもらうしかないよね」でした。

この時の自分は、ついこの間までバンドしかやってこなかった人間です。その前は空手道一本です。
大学は工学部を卒業していますが就職経験も無いので経営等に関しての知識はゼロでした。
ここまでなんとかこれましたが全て独学です。

正直に書けば、融資と出資の違いも正直いまいちよくわかっていませんでした。
キッチンカーで起業を考えていた時もこんな話はありましたが、あの時も正直違いはよくわかっていませんでした(笑)

そろそろこの辺りの事とも向き合わなければ駄目だろうと感じたので「出資」について勉強しました。

要はお金を出してもらって会社を設立し、その会社に利益が出たらその方に利益を戻していく感じです。
融資はお金を借りる事なので返済が完了したら終わりですが、出資はその会社が続く限り利益の還元は続きます。

しかし融資は絶対に借りたお金は返さないといけませんが、出資の場合は会社が潰れたら出して頂いたお金を工面する必要は無いと言えば無いです。

ならば出資して頂いたその資金で機械Xを購入し、会社を設立し軌道に乗せて利益を出して出資して頂いた方にお金をバックしていけるようになれれば次に進めるので、資金を出して下さる方を探さなければなりません。

今、これに書いている内容は当時はブログに書いていました。
なので読者の方々は今は自分が出資して下さりそうな方を探している事は皆さんご存知でした。

新製法より劣るA製法の象の耳はもう売る事は出来ません。
味が劣るものを自信を持ってお客様に勧められません。
なので不思議なオーブンと機械Xを入手するまで象の耳は売る事は出来ないという事になります。

そうすると家賃や車のレンタル代の支払い、借金の返済が出来なくなるので何かしらの収入が毎月必要になります。
ライブによく来て下さっていたお客様の中に治験の入院タイプのバイト(俗に言う人体実験バイトって奴で、薬飲んで何か変化が現れるかのテスト)を専門でやっている病院の看護師さんがいたのでバイトをお願いし、その後~会社を作るまで何度もお世話になりました。

(ご飯は3食出るし、健康診断はしてくれるし、空き時間にビジネス書は読めるし、睡眠時間も確保されるので自分は治験バイトに行っては健康になって帰ってきてました。一番きつかったのは・・・2泊3日で8.4万もらえましたが1日に24回採血されたので両手がボロボロに(笑))

しかし治験バイトは3ヶ月に一度しか受けられないので頻繁には出来ません。
色々な支払いを賄うには足りません。

移動販売車を眠らせておくのはもったいないですし、営業場所も確保できています。
そこで閃いたのが以前に空腹を満たす為に移動販売車内で調理して食べていた「揚げフランク」でした。(第2章~15話参照)

車の設備を変える必要はまったく無いので、看板だけ作り直せばすぐに営業が開始できます。

象の耳の営業で学んだ事を生かして看板を作り直しました。
そして商品名は「伝説の揚げフランク」に。

意味はありません。完全なインパクト重視の数秒で思いついたネーミングでした。  
でも売る前からこれはいけるっていう確信がありました。

なぜならA製法の象の耳を売るより数倍簡単だからです。

フランクフルトを知らない方はいません。
でも普通はお湯で温めるか、焼くかのどっちかです。

揚げてあるのは珍しいです。
また名前だけで商品説明はいらない位に何を売っているのか伝わりますし興味も引けます。
美味しい事は身をもって自分がわかっています(笑)

また出来上がった商品を仕入れて揚げて販売するだけなので仕込みもする必要はなく、余っても保存が利くので捨てる必要もありません。

平日のスーパーは厳しいでしょうけどイベント会場なら間違いないと確信出来ていました。
そしてお世話になっている移動販売車の派遣会社Mの方に事情を説明し、としまえん遊園地で「伝説の揚げフランク」を販売したい旨を報告。

「そんなの絶対に売れないから象の耳を販売して下さい。」

猛烈に反対されましたが自信があったのと象の耳は上記の理由で販売できません。
なので頭を下げまくり試させて下さいとお願いを何度もし、販売許可を取る事に成功しました。
(としまえんさんからも、フランクフルトは売れないから象の耳を販売して欲しいと言われてたらしいのですが、強引に押し切りました)

そして夏休みの時期、としまえん遊園地で「伝説の揚げフランク」の営業を開始する事になりました。
看板類もこだわりを書き連ね、とりあえず一回食べてみるか・・・って誰もがそんな気持ちになるような看板が完成。
この頃にはフォトショップの扱いも慣れていたので1日で作れました(笑)
今までの失敗は伊達じゃなかったのです。

周りから物凄く反対されてましたが、自信があったのは自分ただ一人。
準備もすぐに終わらせる事が出来、余裕しゃくしゃくでとしまえん入りをしたものの、これだけ皆さんに反対されれば多少は不安な気持ちもありましたが・・・

こうして「伝説の揚げフランク」営業初日を迎えました。
結果やいかに。

つづく