象の耳 歩み

第3章~2話:「伝説の揚げフランク」販売開始

出資者さんが見つかるまでは、象の耳は販売できません。
なので借金の返済と生活費を稼ぐ為に「伝説の揚げフランク」を販売しよう!

仕入れはI氏に教えてもらい美味しいフランクフルトを入手。
仕入れ値は一本、90円。
冷凍状態で板橋区の工場まで取りに行かないといけないのですが、としまえんから近いので苦にはなりませんでした。

大量に仕入れても月末締めの翌月末にお支払いをすれば良いので、売上でお支払いをすれば間に合います。

象の耳の看板の上に板を貼り、ペンキで「伝説の揚げフランク」を毛筆っぽく字を書きなぐり、使用しているフランクフルトはドイツのコンクールで賞を5年連続で獲得している美味しい商品なので、遊園地やイベント会場や屋台によくある安いフランクフルトではない事を説明。

冷凍で仕入れたものを前日に常温放置しておけば溶けるので、車の中に入れておくだけでOK。

ご注文を頂いたら溶けているフランクフルトをフライヤー(揚げる機械)の中に入れて60秒で完成、一度に10本まで揚げられるので行列も怖くありません。

何もつけないのが一番美味しいのでケチャップやマスタードは出したくなかったのですが、念の為に店頭に置いてかけ放題にしました。
プールの帰り道とかしょっぱいものが欲しくなるから爆発するのでは!?なんて考えてました。

1本300円、2本だと500円。以降1本あたり250円です。まとめて買ってもらえるようにする為にそうしました。

こうして皆の反対を押し切って夏休み期間のとしまえんで「伝説の揚げフランク」の販売を開始!
自分が配置された場所は人が込み合うプールから出入り口までの間の道沿い。

朝、莫大な人が完全にプールだけ目当てに入口からプールに吸い込まれていきます。
何人かが朝食代わりに買って下さりました。
注文を受けたらフランクフルトをフライヤーに入れて60秒たったら油から取り出し、油をきって紙皿に載せて提供します。
「美味い!!」
買った方が全員、そうおっしゃってくださりました。
そりゃそうでしょ!こんな高いフランクフルトを売ってるお店は見た事ないですからね。

イベント会場でよく見かけるフランクフルトの仕入れ値はだいだい30~50円程度の安物です。

うちのは仕入れ値90円ですよ。スーパーで買ったらたぶん150円~180円レベルのフランクフルトです。

とは言え、数人の方が買って下さっただけで以降はまったく売れませんでした。
派遣会社やとしまえんの方が観に来たのですが、それ見た事か、と言わんばかりにまったく売れていない現状を指摘されました。

もうひたすら謝るしかありません。

そしてとしまえんの営業場所をうちのお店で8月末まで何日も確保してしまっているので、明日からは象の耳を販売して下さいと派遣会社の方に命令されました。

はぁ・・・

そして夕方になり、プール帰りの方々が続々出口に向かっていくのですが、はじめは数人の方がうちの看板を見て足を止め買ってみようか、なんてお友達やご家族の方と相談され注文して下さったのです。皆さん2本以上。

朝、プールへ向かう時に買って下さった方も美味しかったから!中で売っているのより全然美味しかったから!とまた購入して下さりました。

仕入れた分だけは売っておきたかったのでありがたい事です・・・なんて考えながら揚げてるうちにみるみると行列が長くなっていってるではありませんか!

そして数分で行列は軽く50メートル位の長さになり、自分が経験した事のない長さにまで行列は成長しておりました。

行列は長いですが1分で10本まで揚げられるのでバンバンお客様に商品を渡す事が出来ます。
10本揚げてはお客様に提供し、また10本揚げてはお客様に提供し・・・を繰り返してるうちに持参した200本は30分もかからずに完売。

30分で売上は約5万円。
仕入れ値:18,000円
としまえん場所代(売上の30%):15,000円
その他:1,000円
計:34,000円
利益:16,000円

わ~い。

30分で16,000円も稼げてしまいました。
時給に換算すると3.2万です。

悲しいですが、象の耳より全然効率が良い・・・

営業が終わる頃には派遣会社もとしまえんの方々も掌を返したかのようにべた褒めして下さりました。
次回も揚げフランクを売って下さい、こんなに売れて仕入れは大丈夫ですかね!?なんて心配までされました。
ははは・・・(苦笑)

予想と狙いが全て的中、いや予想以上に当たったので凄く気持ちが良かったです。
象の耳で苦労した事が全てここで役にたちました。
報われました。

・・・100%気持ちが良いかと言うと本業は象の耳なので微妙といえば微妙でしたが。
象の耳より作るのが簡単で、仕込みも楽で、片付けも楽で、完成するのも楽でバンバン売れた訳ですから。

当時、A製法の象の耳でとしまえんで営業した時はだいたい週末1日の売上が5~8万位、
夏休み以外は場所代は売上の25%だったので、最終的に手元に残る利益は3~6万円/1日でした。
伝説の揚げフランクは時間当たり3.2万ですからね。
そりゃ泣きたくもなりますよ。

派遣会社Mさんに登録している車はうちだけではなく他の移動販売業者の方もいるので、毎日としまえんさんに入れる訳ではなく西武園ゆうえんちの日もあればスーパーの店頭を割り当てられた日もあるのですが、伝説の揚げフランクはプール帰りの人しか響かないし、真夏のスーパーの店頭で販売してもたいして売れないだろうな~と思っていたので、としまえんに入れない日はお休みにして、他の日は出資者探しをしていました。

これが本来の目的ですからね。
しかしこれが難航、というかまったく糸口が見つからず・・・

つづく