象の耳 歩み

第6話:影の総帥

まさかの地図間違えで路頭に迷い、
何の収穫も得られずに屋台会場に戻ってきたのですが、
この日にはもう一つの希望があったのです!

そう、今日は全6店舗をしきるオーナーが来るはずの日です!!

日本の屋台やテキヤさんといえば、ヤク○さんの影がちらつく印象があります が・・・
アメリカも屋台と言えば・・・・マフィアとかギャングですか!?

今日、会えるはずの象の耳の総元締めは、つまりは影の総帥。
もしかしたら象の耳の作り方を知る為に来た自分にとっては
師匠になるやもしれないお方なのですが・・・

マフィア?ギャング?
いったい、どんなお方なのだろう・・・??

恐らく、家の周りを黒のスーツにサングラス、マシンガンをもった部下が囲い、
家ではバスローブを羽織り、膝の上にはシャム猫。
指には巨大な石のついた指輪をし、
ブランデーグラスを回しながらコニャクの香りを楽しみ、
机の上には鏡と大量の片栗粉。そしてもちろん口元には極太のシガー。
人を見下すような目で見て微笑みを浮かべた瞬間には
裏切り者をバットで殴り殺す・・・

まるでマーロン・ブランドかデ・ニーロかって感じの・・・
そんなマフィアを想像してました。

こんな人に自分は弟子入りするのだろうか?
私までマフィアになってしまうのだろうか?

そんな事を考えながらも~

屋台で働く人間がもし昨日と違っていたら、
何か情報を引き出せやしないかと企みましたが・・・
どこも同じ人達でした・・・

昨日さんざん喰らいついたので向こうも自分を覚えてるらしく~
「材料は何ですかね~?」
「卵は入ってるんでしょうかね~?」

なんて聞いてみても~答えはやはり、
『知らない』の一点張り。

「今日ってオーナーさんが来るんですよね?何時位に来ますかね?

『あそこにいるよ』

えっ!?

指をさす店員。もう師匠とご対面!?早すぎですよ!!
こ、こころの準備が出来てません!!

し、しかし私は師匠にあたる方を見てみたいという衝動に駆られ、
すぐさま振り返ってしまいました!

いったいどんな渋いマフィアが待ち受けてるのか・・・・???
しかも初マフィア!!

そして・・そこにいたのは・・・

ポメラニアンを抱えた、
推定年齢50歳位のしわくちゃで、
おまけに身長150cmくらいの
小さなおばちゃんだったのです!!

「えっ!?あの人がオーナーなの!?(ってかヨーダじゃん・・・)」
(ちなみにヨーダとはスターウォーズに出てきた小さいけどすごい宇宙人)

『そうだ。』
ならば、行くしかない。近づいてみる。

「あの・・・・」

覚悟を決めてヨーダに話し掛けると、
ヨーダは、びくっ!!として振り返り私を見上げました。

「エレファント・イヤーのオーナーさんでしょうか?」

『あ~・・・そうだけど・・。・・・なに?』
とっても怪訝そうな表情でにらまれました。

「どうしても、家で作って食べたいので象の耳の作り方を勉強しに来たん で・・・・」

その時!!
最後まで言い終えてもいないのに
ポメラニアンを抱えてヨーダがテケテケと逃げ出してしまったのです!!

「待て!ヨーダ!!」

手を十字に広げ通せんぼをして周りこみ!

「これの作り方を勉強する為に日本からわざわざ来たんです!
お願いですから生地のレシピをご存知でしたら教えて下さい!
私に教えても、あなた達に迷惑はかかりませんから!
それか、お金はいりませんからあなたのお店で働かせてく・・・」

またもや最後まで言い終える前に!
ヨーダは別の方角にテケテケと、
ポメラニアンを抱えて逃げ出してしまったのです!!

また周りこもうとしたその時!!

ヨーダの手が、しっしっ!あっちへ行け!としてたのです・・・

あまりのショックで呆然と立ち尽くしてしまいました・・・

ヨーダは人混みに紛れて姿をくらませてしまいました。
最後の手がかりが消えてしまったのです。

借金までして!!
象の耳の作り方を知る為にわざわざポートランドへ来たのに・・・
3日目にして全ての可能性が消えてしまいました。
これからどうしろと言うのでしょう・・・

途方に暮れるとはこういう事を言うのでしょう。

つづく