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歩み

「象の耳」開業までの険しすぎる道のり。そしてこれから。

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第30話:何が悪い?

なんで売れない?

美味しいのに!

しかし、営業初日の帰宅後~
家に着いたら23時半。
片付けしたら1時。

翌日が7時位には起きて営業の準備(仕込みと呼ぶ)
を始めないといけない為、
ご飯食べて、風呂入ったらもう寝る時間。
時期は7月、外は暑い。
車内の温度は目の前に高温の油がある為に軽く40度は越えている。
とにかく暑い。
体力も削られている。くたくただ。

目覚ましが鳴ると仕込み開始→出発、
着いたら準備して営業開始~

ライブの日だけ営業を休み、
スタジオのある時はそれに合わせて早めに営業を終え、
毎日休み無しでこんな生活な為、
ゆっくり売上を上げる為にどうしたら良いか?
なんてビジネス書を読んだりネットで調べて研究する時間など
ありゃしない。

しかし、お客様が来ない暇な時、
ぼ~っとしてるのも時間がもったいない為、
外に出て車を眺め欠点を探したり、
通りすぎていく人達の目線や、
会話を盗み聞きしながら、
お客様は何を求めているのか?
どうしたら車に目が止まるのか?
どうしたら購入しようという気持ちになるのか?

等を自分なりに考え結論を出してみては
出来る範囲内でちょこちょこと看板やらをマイナーチェンジ。

→店をやる側の視点ではなく、
お客様の視点で店を見ると色々と見えて来る事に気づく!

「パン」って看板に書いてあるのに、
「象の耳って何ですか?」
「ナンですか?」「ピザですか?」よく聞かれる。
全員が全員、看板を読んでくださる訳でもない事に気づく。

「わからない事があった時は人に聞く前に自分で調べて、
それでもわからない時に初めて人に聞く。」

のが当たり前だと思っていた自分には、
看板を読みもせずに質問してくる人を見て非常に驚いたのだが、
それは自分が世間を知らなかっただけなのだ。

→そう、全ての基準を「自分基準」にしていたのだ。
独り善がりの看板。一人称な営業。

人に物を買って頂く為に店を開いているのに。

俺は日本初のパンを作って売ってるんだ、
珍しくて美味しいんだ、
うちでしか食べられないんだぞ。

若干、上から目線で商売をしている自分に気づく。
そして世の中には物凄く色んな方がいる事も知る。

過去に色々な接客業をしてきたが、何処も室内であった。
その店にはそれなりにその店に合うお客様が来るものだ。
接客する対象は「店に来た人」だが、
外で営業をすると対象は「外にいる人全員」になる。
当たり前といえば当たり前なのだが、
世の中には良くも悪くも色んな人がいるな~とつくづく勉強する事が出来たのだ。

そして衝撃的な一言を、ある女性のお客様に言われた事があった。
開業して間もない頃、あれは忘れもしないダイエー鴨居店での営業時。

恐らく高校生と思われる女性のお客様が御来店。

リピーターになってもらおーと、はりきる。
珍しがっていたので興味深々のようで、
「何処の食べ物~?」
「アメリカで見つけたんですよ~」なんて雑談をしながら生地を伸ばす。

当時は、注文を受けてから生地を伸ばし揚げていたので、
サイズは調節可能、小200円、中300円、大400円で、
「中」の注文を受けたので
喜んでもらえると思い一回り大きなのをお出しすると・・・

「でかすぎ~、ある意味迷惑~、食べきれな~い」

と言われたのだ。

頭を金槌で叩かれたような衝撃だった。
自分が良かれと思った事がここまで逆効果になるとは!

オレゴンのエレファントイヤーを再現して出したのに、
大きすぎて迷惑!なんてこと!

そう、お客様の大半はエレファントイヤーの事を知らない訳で、
それをリアルに再現した所で嬉しくも有り難くもなんともないのだ。
ようは払った金額に見合うだけの商品価値(味、量、金額)があればそれでいいのだ!

考え方も変えないとまずいと気づき、
毎日、少しづつ看板や掲示物をどう直したら良いか考え、
出来る事は即実行。

毎日毎日、営業をし、
毎週毎週、同じ曜日に同じ場所へ行き、
お客様と直接話しをして、意見を聞いたり、
仲良くなったお客様には思い切って、
どうなったらもっと売上が上がるか?なんて軽く相談してみたりして、
思いついた事は全部やった。

時間が無いから、無いなりにその中で自分で改善方法を考え、
結果として恐らく本では学べないであろう事を沢山学べた気がした。

こうしてリピーターが少しづつ増え、少しづつ売上が上がる。
労力と売上が比例しているとは思えなかったが、
それでも美味しいと言って、
毎週買いに来てくださる方が少しづつ増えると、
いつかはなんとかなるんじゃないか?
なんて思えてきたのであった。

そして転機は本格開業して3ヶ月後の10月に起きた。

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