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歩み

「象の耳」開業までの険しすぎる道のり。そしてこれから。

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第31話:行列の法則

開業して早3ヶ月。

生まれて初めての移動販売車での営業だった~
八王子のお祭りに出店した時の売上は非常に良かった。

通常営業もそのまま行けると思っていた。

しかし現実は大違いだった。
通常営業初日の売上は、祭りの1/10以下だったのだ。

平日はスーパーでの営業、
土日はイベントやフリマに出店。

土日の売上は平日の倍位にはなる為、
生活はぎりぎり出来ていたのだが、
それでも平日が酷い為、
毎日思いついた事は全部やり、
売上UPを試みた。

自営業の良い所は思いついた事をすぐに実行出来る事。

そのかわり失敗したら自分に跳ね返ってくるのだが、
そしたらまた考えれば良いだけなのだ。

自分は基本的に怠け者できつい事が嫌いである。

私は楽して稼いでバンドやって遊びたいだけなのだ。

だから楽をする為に色々な工夫をし、
無駄を徹底的に無くす事に集中し、
自分の稼ぎを増やす為に経費削減に努め、
遊ぶ時間を作る為に作業効率を見直したりしてみた。

結果的にそれは「無駄の削除と効率の追求」であり
間違ってなかったのだと後で気づいたのだが、
当時の私は楽する事しか考えてなかった(笑)

そして真夏の営業に耐え、売上も少しづつ上がり、
開業して早三ヶ月経過した時であった。

イベントが無い土日曜日は、販売車の前オーナーの紹介で、
八王子の村内家具さんの駐車場で営業をさせて頂いていたのだが、
その家具屋さんは年に1回、10月にお祭りを開催するとの事。

毎年、そのお祭りには数万人単位のお客様がいらっしゃり、
大変に賑わうから出店してみてはいかがですか?
と家具屋さんの担当の方からお話を頂けたのだ!

そして、そのお祭りの当日。
祭りは連休をはさみ三日間行われる。
賑わうって言っても・・・家具屋さんだしな・・・
どれだけ人が来るのだろうか?
さっぱり検討がつかない為、それなりに数を用意して行ってみた。

着くとまだ祭りは始まってなかったのだが、
入口を観て固まる。

大行列が・・・軽く千人以上。

地元では毎年恒例のお祭りらしく、
家具が凄まじい値段で販売されるらしく有名らしいのだ。

物凄い行列を眺めながら、営業準備をしオープン。
午前中はあまり売れなかったのだが、
店員さんが休憩時間になり、
いつもの店員の常連さん方がお友達を誘い来て下さるようになる。

他の店舗には普通のお客様が来ているのだが、
うちの車は家具屋の店員さんの制服を来た方達ばかり。

これを見て始めは遠めの見物だった普通のお客様方も
少しづつ集まりだし、
出来たてを勧めて皆の前で食べてもらう。
(味に自信があるから出来たのだが。)
そして食べた瞬間に
「あ、美味い!」
とそのお客様はこちらが望んだ通りの
リアクションをして下さる。

そしてそれを観てまた人が集まり、
とうとう行列が出来る!

↓これはその時の写真
ファイル 31-1.jpg

すると今度はその行列を見て人が集まり、
また人が並ぶ。

行列は売り切れるまで切れる事がなく、
ず~っと作りっぱなし。
そして初の完売!

そして私は学習した。
人が集まると人は更に集まる。
店の前に人がゼロだとなかなか人は集まらないが、
一人でもいると次に繋がるのである。

まず1人目を確保!
そしたら退屈させないように2組目が来るまで
なるべく時間を延ばし店の前にいてもらう!
こうやって行列を作る!

行列が出来たら、今度はなるべく待たせないように
どんどん捌く!
しかし行列を切らさないように、少なくなってきたら調節する!

人の心理を考えると当然なのかもしれない。
人が集まる=そこには人が集まる理由がある。
→つまりそこに対して何かが期待出来る。


美味いから人が集まるのか?
安いから人が集まるのか?
珍しいから人が集まるのか?
人が集まる理由を知りたくなる訳だ。

そして自分の目で見て考える。
試すか?試さないか?
そこに判断材料として、
味、値段、清潔感、店員の印象、希少価値感、などがあり、
そしてお試し購入へと繋がる訳なのだ!
普段、お客様の視点で店を眺めるようにしていた事とが
リンクした瞬間だった。

あ~~なるほどね~

行列とは育てるものなのか!

帰りの車の中、渋滞の道でそれに気づいた。
どうやったら売れる店が作れるのか?
点と点が線に繋がった瞬間。
ばばばば!と次にどうすべきかが見えた。
そして私はこれを「行列の法則」と勝手に名づける。

祭りが終わったら色々と変えよう!
そしたらもっと売れるはずだ!

渋滞を無事に抜け帰宅後、
翌日の仕込みをして3時間程寝てから出発。
2日目は更に量を増やして持って行ったのだが、
「行列の法則」を利用して完売。
3日目も更に量を増やしたのだが完売!

このお祭りの期間、
同じ人が何度も買って下さったし、
行列が切れる事も無かったし、
お客様はみんな美味しいと言ってくれたし、
無くしかけていた自信が蘇る!

しかし、それと同時に売れれば売れる程に
この食べ物の重大な弱点も
自分は知ってしまったのであった。


<つづく>

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