第1章~4話:秘密
日本から何万も借金をしポートランドに製法を求め、わざわざ渡米したにも関わらずまさかゴミ箱を漁る事になるとは・・・
しかし、収穫はありました。
恥や外聞などもうどうでも良かったんですよね。一番綺麗なそのダンボールの切れ端をゴミ箱から取り出し持って帰る事にしました。
帰りは、バイトのお兄さん達が交代していたので試しに再び、
「作り方を教えてください!」
「材料を教えてください!」
「お金はいらないから、ここで働かせて下さい!」
「これの作り方が知りたくて日本から来たんです!これの作り方を自分が知っても、あなた達が損をする事は絶対にないですから!だから教えてください!!」と必死に訴えても、
『知らない』
『知らない』
『オーナーに聞いてくれ』
どの店も返って来る答えは同じでした。
しかし、とりあえずそのゴミ箱から拾ったダンボールには、英語で何やら沢山知らない単語が書いてあったのと、URLが一つ書いてあったのでそれを調べれば全貌が明らかになるのでは?と凄く期待をしました!
夕方になり屋台も閉まったのでその日は友人宅に帰宅し~ダンボールの切れ端に書かれている英語の内容を辞書で調べながら訳し、書かれてあったURLにアクセス!!
そのURLは・・・
あるパン生地メーカーのサイトでした!
そして!
ダンボールの商品の成分(カルシウム○%とか・・・) と企業概要らしき文がありました。(成分であって材料の記載は無かったです)
<!!!>
しかしこの時、私は一瞬で全ての謎が解けてしまったのです・・・
そして、
絶望のどん底に叩き落とされました。
店員さん達に
「生地の作り方を教えてください」
「材料を教えてください」
と幾ら聞いても、
彼らは意地悪で教えてくれなかった訳でも、オーナーに口止めされていた訳でもなかったのです。
彼らは・・・
生地をこの会社から買って、屋台で延ばして揚げて売っていただけなのです!
生地の材料も、分量も、作り方も、知ってるはずがないのです!
私は何しに借金までしてこの地へ来たのでしょう・・・??
あ~~~、私の象の耳はどこに(涙)
自分に少し同情しました。
しかしこの渡米をなんとしてでも無駄にしない為に、必死に次の手を考え始めました。
つづく