第1章~8話:そして最終日。
とうとう最終日が来てしまいました。。
全額借金をして、
ポートランドに象の耳の材料を知る為にわざわざ来て早一週間。
土産話は山程出来ましたが何の成果もありませんでした。
あと1日で結果を出さねば来た意味が無い事になってしまいます。
最後の日となったのでこの日が勝負です。
生地の原材料を知りたくとも、売ってる人間が知らないのです。
・・・じゃあいったい、どうすればいいのだろうか?
考えた。
考えた。
考えた。
そして、一つだけ思いついた事があったのですが・・・
これは人の力を借りないといけないし、頼む事は出来るのですが頼んだところで引き受けてくださるかもわからない。。
その思いついた事とは・・・
自分が以前に接客業をしていた時のお店に、A製粉という日本最大手の会社の方がよくいらしていたのですが、その中で一番仲良くさせていただいていた方が実は取締り役のBさんで・・・
生地を持ち帰り、A製粉の研究所で成分分析をしてもらう事!!
そうすれば原料がわかるだろ、という結構無謀極まりない考えでした。
力を貸してくれるかな!?
もうここまできたら、
ダメもとで頼むだけ頼んでみよう!
Bさんに思いっきって国際電話をしてみました。
今、自分がポートランドにいる事とその目的は、この方にはメールで報告していたので事情を簡単に説明すると・・・
『うちの会社の施設は思う存分使っていいから!』と承諾してくださったのです!
そうと決まれば、今日の目的は、「揚げる前の生地を売ってもらう事」に決定!!
そして昼過ぎに会場へ。
エレファント・イヤーの屋台はあいかわらず6軒出ていました。そしてあいかわらず行列が出来ています。
今度は彼らがどうやって揚げてるか、大きさや重さやどんな味付けをしているのか・・・等を観察しながら写真を撮りまくりました。何枚も買って食べて色々と研究。
揚げたてはやはり美味い!!
しかし時間が経つと油っぽさが前面に出てきて、ちょっときつい感じに。
それにしても大きい・・・アメリカ人でも子供や女性は食べきれなくて途中で捨ててる方も多数。
揚げたてを食べて余ったら捨てる!そんなスタイルの食べ物らしい。
でも、どうしてもこれを作れるようになりたい!
そして、今度は屋台一軒一軒を周り生地を譲ってくれないでしょうか!とお願いして回ったのですが全屋台の答えは、
NO!!
そして15時すぎに、バイトのメンバーが総入れ替え。
駄目もとで再び一軒一軒周り、生地だけなんとか譲ってくれませんか!とお願いして周ったのですが答えは全て同じ。
門前払いに近かったです。
そして日も暮れ始め~いろんな店が閉店作業を始めてました。
残るは一軒!
ここで駄目だったら自分はここに何しに来たんだ??
夕日を見ながら少し泣きそうになりながら、最後の一軒へ!
駄目もとで、しかしほんのわずかな勝算を抱いて!
閉店間際なら余った生地を捨てるだろうから譲ってくれるかも!
なんて淡い期待を抱いて!
そして、けじめとして!
悔いが残らないように!
閉店間際の最後の店に突撃!!
こないだも昨日もいたお兄さんに懇願。
「すいません!その生地がどうしても欲しいんです!譲って下さい!!」
『ふ~負けたよ。いいよ!内緒だぜ(笑)』
ななんと、そうウインクをして2ドルで譲ってくれたのです!!
始めは信じられなかったのですが、隠れて生地を包んでくれているお兄さんを見て魂が震えまた泣きそうになってしまいました。
そう、女神は最後に微笑んでくれたのです!
こうして私は翌朝、いろいろと助けてくれた友人と再び再会を約束し、そして手に入れた生地を大事に抱え、
2002年6月5日
日本に無事に帰国しました。
しかしこれはゴールではなく、闘いの始まりだったのですが。。。
つづく