2022.11.23 第2章~4話:恐怖の試食会2

あのダイエーさんの店頭で営業出来るようになる為には!
(一応OKはもらっていましたが)
この試食会で良いイメージを抱いてもらう事がどうやら大事なようなのです!

試食してくださるのは、ダイエー各支店に移動販売車を派遣する会社の方々。

今さら何かをしても、どうにかなるものでもないし今までの自分がやった事に対しての審判が下る日~くらいに思い、たいした緊張もなくただいつも通りの物が出せるように準備し、忘れ物がないように気をつけて目黒にあるその移動販売車の派遣会社へ向かいました。

いったい何人の方に食べて頂けて、何人の方が美味しい!と言って下さったら合格なのだろう!?
本部の方はOKを下さったけれど、ここの会社の方々〜全員に美味しくない。と判断されてしまったら、このお話はどうなってしまうのだろう!?

皆さん、お腹空いているといいな。
何人の方が期待をして待って下さっているのだろう!?
どんな状況の中で試食会が行われるのだろう!?
わからない事だらけなので超不安ですよ。

しかし反面、大勢の方に囲まれながら珍しい!美味しい!こうしたらもっと美味しくなるかも!なんて皆さんが活発なご意見を出して下さる場を想像し、少し楽しみにもしておりました。

そして・・・指定された時間の17時ちょっと前に事務所に到着し中に入れて頂きました。
その会社の方々は黙々と誰もが社内で話をする訳でもなく、お仕事(パソコン作業)をされていたので室内はし〜ん。カタカタカタと複数のパソコンを打ち込む音だけが鳴り響いておりました。

ひっそりと移動販売車を駐車場に停めコンセントをお借りし、事務所の外で出来るだけ音を立てないように試食会の準備を行い、そして試食会が始まりました。

と、いうか社内の皆様はどなたも席を立つ訳でもなく、何ごとも起きていないかのように席について黙々と画面に向かってパソコン仕事をされています。

担当の方に「パンが出来たら持ってきて下さい」と言われたので、外に出て移動販売車に入り生地を伸ばし、揚げ、シナモンシュガーをまぶし社内へ持っていき担当者に渡しました。

それを担当者はパソコン仕事をやりながら、ちぎってお口の中へ。
そして隣の席の方にそれを渡し、その方が食べるとまた隣の席の方へ・・・

しかし誰かが何かを言う訳でもなくし~んカタカタカタの中、手と口は動かしながら顔と目はパソコンのモニターを皆さん見ています。

大人数の方に囲まれ、あーだこーだと感想を皆さんが述べて下さるような・・・
そんな和気あいあいとした場を想像していたのですがまったく異なりました。

たまに皆さんひそひそと会話をされているのですが・・・何を話しているのかまったく聞こえません・・・

う・・・気、気になる・・・・
美味いのか?不味いのか?
何を喋ってるんだ・・・・・

そして一通り皆さんが食べ終わった頃に鐘の音が鳴り18時になると次々に皆さんが『お疲れ様でした・・・』と退社されていきました・・・

え??

ど・どうなんですか!?・・・・感想は???
と、全員の胸ぐらをつかみ、おい!どうなんだよ!美味いのか?不味いのか?どっちなんだ!?と聞きたい気分でしたが・・・

部屋のはじに立ち皆さんが退社していく様を眺めて感想を気にしていると、その時、自分の担当の方の携帯(当時はガラ携)が鳴ったのです。

着メロが・・・あれ?

このイントロは聞き覚えのある曲だぞ・・・

そうだこの曲は!
Mr.BIGの”Green-tinted 60’s mind”だ!

この人の攻略の糸口が見えた瞬間でした。
とりあえず仲良くなるきっかけを見つけたぞ。

平静を装いつつ心の中では皆さんがどう思ったのかが気になって気になってしょうがなかったのですが、その後、担当の方に応接室に通されました。

合格なのか不合格なのかの話しもなく、美味しかったのか不味かったのか皆さんはどのような感想を残したのか・・・気になってしょうがありませんでしたが、担当者さんが最初に発した言葉は、

「まず弊社との契約に関してですが」
という訳のわからぬ言葉でした。



「契約できるんですか!?」

「もちろん」

「ダイエーさんで営業する場合の諸注意は、この紙にまとめてあるので読んでおいて下さい。」
と、いきなり正式契約の話しとダイエー店舗での営業の説明が始まりました。

どうやら合格らしい・・・

とにかく自分は感想が聞きたかったのですが、何もそういう話がないので~
堅苦しい雰囲気を壊すべく、、、

「すみません、話が凄く変わってしまって申し訳ないのですがさっきの着メロって・・・」

と一旦、話を着メロの話題に移し曲名を当てると!
担当の方の硬くるしい仕事の顔がぱっと明るい表情に変わりました!

「知ってるんですか!?」と嬉しそうに質問され、「勿論ですよ!アルバム全部持ってます!」

そこから音楽の話に話題を移しバンドをやってる事も話し、担当の方も昔バンドやっていたそうで、そんな話をして場を和ませ、その方との距離を一気に詰める事に成功!

(実は仕事で接する多くの方には、バンドやってる事は内緒にしていました。
なぜなら不真面目な人間と思われる可能性が高いからです・・・)

・・・・で象の耳、どうでしたか?と突撃してみました。

『僕好きですよ。』

僕は、の『は』が凄く気になりましたが、苦言を頂こうとしても特に無いとの事。。。

次に、どれ位ダイエーさんで営業する事が出来るのか!?
週一なのか?それとも週3とか4位なのか?
ずばり聞くと、担当の方はカレンダーを持ってきて、

「これに働きたい日を書いてください。
その日は全部責任を持って行き先の確保をします」

とおっしゃってくれたのです。
って事は、希望すれば毎日営業出来るってことなのです!

そんな訳で準備期間が欲しかったので少し時間を頂き、2004年7月5日から、まだダイエーさんのどの店舗で営業するかは決まっていませんでしたが・・・とにかく営業したい日に営業出来る事が決定!!

その日、その帰り道にそのまま当時バイトしていたバイト先へ行き、凄く急ではありましたが「辞めさせて下さい」と挨拶を兼ねて言いに行きました。(会社が不調で人を切りたがっているのは知っていたのであっさり辞められました)

ですので働き始める翌月、7月の5日まで私は無職。
バイトを辞め、営業を開始したならば個人事業主になる訳なので・・・
よく考えると一応私は社長(?)になってしまう訳です!

二年かかってここまでこれました。
しかし、喜ぶのはまだ早い!!
象の耳を少しづつ広めましょう!と担当の方はおっしゃってくれたのですが、悪い意味で広まってしまっては駄目なのです。

問題はこれから!ここがゴールなのではなくやっと今、私はスタートラインに辿り着いたに過ぎないのです!

これから!これから!これからが大事なのです!!

ピアスを営業中は外さねばならぬのですが・・・
毎回外したりつけたりするのも面倒なので、
この際、思い切って外してしまおうか検討中・・・

さて、会社の名前を考えなくては!(笑)

なんて浮かれてましたが落とし穴はもうすぐ。

つづく

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