2023.1.5 第2章~9話:行列の法則

開業して早3ヶ月。(2004年10月)
初めてのキッチンカーでの営業だった八王子のお祭りの売上はそれはそれは良い感じでした!

通常営業もそのまま行けると思っていました。
しかし現実は大違いで・・・通常営業、初日の売上はお祭りの1/10以下だったのです。

平日はスーパーでの営業を繰り返し、週末は集客の多いイベントに出店する為に暇な時間に電話で様々なイベントやフリマの主催会社に電話して、なんとか出店できるようになったのですが・・・。

土日の売上は平日の2〜3倍位にはなる為に生活はぎりぎり出来ていたのですが、それでも平日が酷い為に売上も決して良くはなく・・・毎日思いついた事は全部行い、日々売上UPを試みました。

自営業の良い所は思いついた事を自分の意思ですぐに実行出来る事。

そのかわり失敗したら自分に跳ね返ってくるのですが、そしたらまた考えれば良いのです!

自分は基本的に怠け者できつい事が嫌いです。
当時の私は楽して稼いでバンドやって遊びたいだけでした。

なので・・・楽をする為に様々な工夫をし、無駄を徹底的に無くす事に集中し、自分の稼ぎを増やす為に経費削減に努め、バンド活動を行う時間を作る為に作業効率を見直したりしていました。

結果的にそれは「無駄の削除と効率の追求」であり間違っていなかったのだと後で気づいたのですが、当時の私は楽する事しか考えていませんでした(笑)

そして真夏の営業に耐え売上も少しづつ上がり、開業して三ヶ月経過した時の事です。

イベントが無い土日はキッチンカーの前オーナーさんのご紹介で、八王子の村内家具さんの駐車場で営業をさせて頂いていたのですが、その家具屋さんは年に1回10月に3日間お祭りを開催するとの事。

毎年、そのお祭りには数万人単位のお客様がいらっしゃり大変賑わうから出店してみてはいかがですか?と家具屋さんの担当の方からお話を頂けたので出店させて頂く事になりました!

そして、そのお祭りの初日。
賑わうって言っても・・・家具屋さんのお祭りだしな・・・本当に何万人もお客様が来るのだろうか・・・?
さっぱり数の検討がつかない為、それなりに枚数を用意して行ってみました。

着くとまだお祭りは始まっていなかったのですが入口を観て私は固まりました。

物凄い数の人の超大行列が・・・。
ざっと軽く見ても千人以上。

地元では毎年恒例のお祭りらしく、家具が凄まじい値段で販売され為に有名らしいのです・・・

物凄い行列を眺めながら急いで営業準備→お店をオープン。
何度か以前に営業させて頂いた事があったので、その時からリピーターになってくれた店員さん達が休憩時間になるとお友達を誘って来て下さるようになり・・・

他の店舗には普通のお客様が並んでいるのですが、うちの車だけ家具屋の店員さんの制服を来た方達ばかりが並び始め・・・

これを見て始めは遠めの見物だった普通のお客様も少しづつ集まりだし、ノリの良さそうなお客様を見つけては車の前で一口だけでも食べて頂き・・・(味に自信があるから出来たのですが。)食べた瞬間に「あ、美味い!」とそのお客様はこちらが望んだ通りのリアクションをして下さりまして。

そしてそれを観てまた人が集まり、とうとう行列が出来ました!

↓これはその時の写真

すると今度はその行列を見て人が集まり、また人が並び・・・

行列は売り切れるまで切れる事がなく、ず~っと象の耳を作りっぱなし。
そして初の完売!

そして私は学習しました。
人が集まると人は更に集まる。
店の前に人がゼロだとなかなか人は集まらないですが、一人でもいると次に繋がる
のです!

まずは1組目を確保!
そしたら退屈させないように2組目が来るまで
なるべく時間を延ばし店の前にいてもらう!こうやって行列を作る!

行列が出来たら、今度はなるべく待たせないようにどんどん捌く!
しかし行列を切らさないように、少なくなってきたら調節する!

人の心理を考えると当然なのかもしれません。人が集まる=そこには人が集まる理由がある訳ですよね。→つまりそこに対して何かが期待出来る。

美味しいから人が集まるのか?
安いから人が集まるのか?
珍しいから人が集まるのか?
人が集まる理由を知りたくなる訳です。

そして自分の目で見て考える。
試すか?試さないか?
そこに判断材料として、
味、値段、清潔感、店員の印象、希少価値感、などがあり、そしてお試し購入へと繋がる訳なのですね!
普段、お客様の視点で店を眺めるようにしていた事と今回の出来事がリンクした瞬間でした。

あ~なるほどね~
行列とは育てるものなのか!

帰りの車の中、渋滞の道でそれに気づきました。
どうやったら売れる店が作れるのか?
点と点が線に繋がった瞬間。
ばばばば!と次にどうすべきかが見えました。
そして私はこれを「行列の法則」と勝手に名づけました。

祭りが終わったら色々と変えよう!
そしたらもっと売れるはず!

渋滞を無事に抜け帰宅後、翌日の仕込みをして3時間程寝てから出発。
2日目は更に量を増やして持って行ったのですが「行列の法則」を利用して完売。
3日目も更に量を増やしたのですが完売!

このお祭りの期間、
同じ人が何度も買って下さりましたし、
行列が切れる事も無かったですし、
お客様はみんな美味しいと言って下さったので無くなった自信が蘇りました!

しかし、それと同時に売れれば売れる程にこの食べ物の重大な弱点にも気づいてしまったのですが・・・

つづく

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