2023.1.10 第2章~14話:新たなる壁

2005年2月。
引越しも無事終わり、自宅工場A製法による新しい生地塗りなおして綺麗になった車が揃いました!

しかも車に紙を挟んで連絡を下さった方に面接と試食を行って頂き合格!
その紙の主はキッチンカー専門の派遣会社Mをやられている方で、試食にも無事に合格したので色々と営業場所を紹介して頂けるようになりました。
新しい営業場所で再スタート!

2004年の4月のデビューから8ヶ月。
ほんのちょっとの成功から気をよくして調子に乗って開業したものの、失敗の連続でそれでもその失敗を糧にしてとうとうここまで来れました!

杉並区・千歳烏山のSというスーパーで営業をする事が出来るようになり、A製法の新生地、新しく塗りなおした車、新看板の効果で売上も3倍に急増!

明らかにお客様の食いつきが前より良くなったのがわかりました。
「わかりやすさ」って大事なんだなーと痛感。

どんなにこちらが商品に対する思い入れを全面に書いても読んで頂けなければまったく意味がなく!
読んでもらいたい人(対象)が通りすがりの方の場合、ごちゃごちゃ見づらいとスルーされてしまいます。
わざわざ足を止めて全員が読んで下さる事などまず無いのです。

まずは簡単に興味を持って頂き「試しに買ってみるか・・・」と思って頂き、「美味しい」と感じて頂けて始めて壁が一つ無くなるような。

つまり見る側にとって「わかりやすく」「簡潔に」「商品の良さを伝える」のが大事なのかもしれないぞ!!

まずは購入へのハードルを下げる事!!
これを学ぶ。

そして評判が良かったのでとしまえん遊園地や西武園遊園地でも営業が出来るようになったのです!
昔は営業出来なかった場所でも業者さんを通すと営業出来るようになる事がわかる。
(キッチンカー専門の派遣会社を通さないと著名な場所での営業は不可能だという事が明確に判明)

個人の信用と、派遣会社を通すと得る信用というか(結果的には派遣会社がリスクを背負う事になるので営業する際のルールが厳しくなる訳なのですが、その為に面接や試食会があり・・・要はふるいにかけられる訳です)そういう大人の事情を少しづつ私は学んでいきました。

何処に行っても大好評!売れる売れる!
しかし浮かれてばかりな訳でもなく。

週末と平日の差。

営業場所によって売れる場所と売れない場所の違いが顕著になって行き、それは克明に商品の欠点を浮き彫りにするのでした。

どうやら出来たてが食べやすい環境での営業は強い、いやほぼ最強。
他の移動販売車に負けなし。

しかし、テイクアウト前提の場所での営業は・・・

う~ん、やはり時間が経つと食感が落ちるのが問題か・・・
ラーメンだって時間が経ったら美味しくなくなるのにあんなに売れてるのは何が違うんだろう!?と考えると色々と気づく事も出てくる訳です。

<結論>
→A製法による新生地は出来上がるのは早いが時間がたつと以前程ではないがやはり味が落ちてしまう!(ちなみにこの時の生地と今の生地は製法が全く異なります。)

やはり、ここがネックか。
色んな角度、
色んな条件、
色んなお客様が色んな状況で食べる事の予想が甘かった事に気づく。

作れるのは自分だけ。成功したら独り占め!
でも失敗しても責任は自分が取らなければなりません。

その後も、その場で食べられる場所で営業する週末は依然無敵なのですが、予想通り平日のテイクアウト前提の場所だと売上がいまいち伸びませんでした。

自分は何をやっているんだ?
一年近く移動販売をやってきて何を見て、何を学んできたんだ?
わかっていた事なのですが、まだ生地の改良が足りません。

今以上に生地を美味しくして、売上を上げるにはどうしたら良いのでしょう?
冷めても美味しい揚げ物なんてあるのでしょうか?

そう考えるようになってから、世の中の揚げ物を研究しました。
揚げ物って冷めたら美味しくないですよね。
だから高級な揚げ物(特に天ぷら)は出来たてを食べられる環境でしか極力販売しないようになってますよね。
持ち帰りの場合もありますが時間がたつと揚げたてに比べて「味が落ちて当然」ってわかっててお客様側も購入してますよね。

パンって日持ちするイメージがあるんですよね。(それは添加物が沢山入ってるからです。無添加のパンはだいたい2~3日でカビが生えます)

でも移動販売の場合、イベント会場やフリマでの営業の場合はお客様は購入後にすぐ食べて下さり、食べた方の反応を目の当たりにする事が出来るのでお客様がお客様を呼んで下さり、それが相乗効果となり行列が少しづつ出来ていくのですが・・・

平日のスーパー等の店頭での販売の場合、持って帰って食べられる方がほとんど。
しかも象の耳は普通のパンよりも揚げ物ゆえ味が落ちるのが速い。

つまり、商品の特性販売方法合致していないのかもしれない・・・

しかし象の耳は揚げパンです。

これはどうしたら良いのでしょう?
またもや、どうして良いのかわからなくなりまして・・・毎日毎日悩んでも答えは見つからず。
そして誰もこの商品を売った事が無いので相談しても答えられる人もいませんでした。

引越し、新生地、借金、全部失敗だったのか!?

いや!この失敗を乗り越えて結果を出す事が出来れば笑い話に出来る!!
毎日悩んで悩んでこの答えに辿り着いた時、独りで泣きながら誓いました。
「この失敗から学ぼう」
そして次に生かせば良いだけじゃないか!

「失敗」は「成功する為の糧」に出来ないと成功なんて出来ないんじゃないか!?という考えになるしかなく、もう進むしかありませんでした!

諦めない事しか出来ない。そんな感じでした。

しかしこの時、諦めない事しか出来なかったのですが、実際には象の耳をこれからどう改善したら良いのか全然わからず、パソコンで調べようにも何を調べて良いのかもわからず、ヒントを探しに近所で飲み歩く日々が続いていたような・・・

つづく

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