2023.1.10 第2章~16話:歪んだ歪(ゆがんだひずみ)

バンドを抜け象の耳を本業にすると決めたのはいいのですが、問題は山積みです。

しかし、いつものように最終ゴールを決め、その中間ゴールを何箇所も細かく決め、その小さなゴールへの到達に向けて頑張るという方式にし、まずは問題を全て洗い出してどうやったらクリア出来るかを考えました。

最終的な目標は「象の耳を多くの方々に食べて頂き、喜んでもらう事。」です。

となると、お店を沢山出さないと無理です。
という事は、自分しか作れないようでは駄目です。
生産が追いつかなくなるでしょう。
でも誰でも作れるようでは真似されてしまうので・・・

この時点での問題点は、
1、自分しか作れないようでは多店舗展開が出来ない
2、しかし作り方を公表したくない
3、出来れば製造時間と提供時間を更に短くしたい
4、揚げパンだからしょうがないのだが、油っこいのをなんとかしたい
5、余った生地を廃棄するのもなんとかしたい

・・・どうしたら良いんだ?

そんな考えが常に頭の隅にありながらも、夜な夜な生地の改良実験を繰り返しつつ、平日はスーパーを周り週末は遊園地で営業を繰り返し、暇な時間や往復の運転中に色々と今ある問題について考えました。

問題というものは、細分化すればする程に答えが見つけやすいとは言え・・・
問題点があると漠然とどうしよう~と悩むのは辞め、自分と向かい合い正直に問題や悩みを全部とにかく書き出してどんどん細かく分解して考えるようにはしたものの・・・

本来ならば細かい問題点をクリアしていくと、最終的には大きな問題解法への糸口が見えたりするのですが・・・

なので象の耳を取り巻く問題を書き出し、極力自力で悩み考え、ネットや書籍で調べ、それでも答えが出ない時は人に相談して答えを出していこうとしたのですが・・・

しかし。しかしですよ。

象の耳のレシピを知ってるのも自分だけ、
作り方を知ってるのも自分だけ、
人には話せない事も多々あり、
伝えてもわかってもらえない事がなんと多い事か・・・

パン職人さんって9割以上の方が日本の製パン学校で学ばれてから独立された方がほとんどで、そこにとんでもない自信をお持ちの方が多いようなので習っていない製法のパンがある事自体を認めて下さらない方が非常に多く・・・

ネットの掲示板等で本職のパン屋さんを見つけては相談しても日本に無い製法と記載した瞬間に叩かれたり、そんなものは無いと頭から否定されたり・・・
最初は応援してくれていてもそのうち妬まれたり・・・
なぜか「パン業界をバカにしている」「日本のパンのレベルを落とすな」などとまで書き込まれた事もあり毎日傷ついていました。
(今、思えばふらっと海外へ行っただけで日本に無い製法のパンを見つけられた事をひがまれていたのかな〜と思います)

「誰もやってない事をやる」という事にこれだけ障害や障壁が生じるという事は、やっている人間にしかわからないのかもしれません・・・

そうやって追い込まれてしまうと参考に出来るビジネスモデルも見つけられず・・・
過去に周りの反対を押し切って開発に成功した商品や偉人の書籍を読み漁って自分を奮い立たせるしかなく・・・
しかしそれらの商品の多くは周りに反対されて、それでも意志を貫いた人が結果として勝っている訳で。

諦めなかった人が勝つ!とは言え・・・進む方向が間違っていると、それは地獄への片道切符な事もある訳です。

でも、誰も「今、あなたが進んでいる道は間違ってるよ」なんて教えてはくれません。

自分なら新しい道を切り開ける!と思う自分と、お手本がないからどうして良いかわからず、夜な夜な目を瞑れば考えがまとまらず不眠症になっている自分がいました。

結局は自分でしか解決する糸口は見つけられないと頭ではわかっていたのですが、不安なものはやはり不安です。

日本中の方に食べて喜んで頂くには誰もが作れる事が大事。いや必須条件。(日本中の生地を独りで作るのなんて無理!)
しかし、どうすれば・・・と悩んでいた時に、ある業者さんから突然電話がかかってきたのです。

あれは今、考えても嘘のように絶妙すぎるタイミングでした。

つづく

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