2023.5.5 第3章~13話 添加物との戦い

テレビに出る→お客様が殺到する→でも、なんかリピーターが少なくないか・・・!?

という疑問から個性だと思っていた良く言えば「焼き立てが一番」
悪く言えば「冷めたら美味しくない」を覆す為に以前お世話になった渋谷のパンの先生(1章20話参照)のところへ再び相談に行きました。

このままだと莫大な数のリピーターが作れない!フランチャイズで全国展開なんて無理だ!

ご近所の方には何度も通って下さる熱烈なリピーターの方も確かにいらっしゃいましたが、いつまでもこのテレビ出演ラッシュが続くとは限らないので、先を見たら今すぐに取り組むべき緊急かつ重要な案件です。

事前に相談内容はメールで伝えていたので、先生も色々と対策を考えて下さっていて・・・(勿論、無料で。という訳にもいかないので沢山商品を購入させて頂きました)

行くと様々な提案や粉のサンプルを下さりまして!良い専門書も教えてもらえたので通販で入手し更に研究開始!

通常営業をしながら夜な夜な試作の繰り返しの始まりです。

またテレビの影響でしょうか、様々な業者さん、企業さんから提案というか営業と言いますか・・・メールや電話が物凄い数になりまして。

どこかに解決の糸口が見つかるかもしれないので、お店はスタッフに任せて日中は様々な企業を巡ったり営業の方とお会いしたりし、夜はひたすら一人で研究と試作の日々。

今まで「完全無添加」を通してきましたが、解決するには添加物の力を借りれば簡単なのかもしれませんが・・・その前に添加物ってそもそも何だろう?そんな疑問が生まれてきまして。

自分は添加物の全てを知っている訳ではないかも。
敵とみなす前に敵の事を知る事も大事だよな〜と思い、添加物に対して勉強する事にしました。
どんな事かと言いますと〜

ーーーここからは添加物のお話なので残酷な現実を知りたくない方は下の線まで飛ばしてくださいな。

だんだん突き詰めて勉強していくと化学の世界に足を踏み入れる事になり、他の食べ物の事に関しても勉強が必要となり、更に研究していくとだんだん世の中の様々な事が繋がっていくのがわかってくるのですが・・・

そこから世の中に販売されている薬剤(お薬)の領域にも同時に勉強する事に。

過去に何度もこの話に登場したI先生(人を病気にさせない医療を推進派=医学会内で敵が多い<これの意味がわかりますか?>)が以前によく話してくれた事なのですが、

「患者は、医者に病名を特定されないと不安になる」

「医者は病名をとりあえず特定し薬を処方しないと商売にならない」

「みんなは医者を神様みたいに思ってるかもしれないが、実際には人体の数十%の事しか医者もまだわかっていなくて、ほとんどの診察結果は<現時点でたぶん正しいだろうとされている事>であって正解とは限らない。つまり人体に関してはまだ全然解明されていない」

「風邪を治す薬が発明されたらノーベル賞が獲れる」とかの話の意味がなんとなくわかってきたんですよね。

世の中の真理と書くと大袈裟ですが、目に見えている事やなんとなくそうなんだろうなと勝手に解釈していた事と事実は異なる、という事がわかってきまして。

薬局に売っている風邪薬ってよく調べればわかる事なのですが(語弊も含めて簡単に書いてしまうと)その症状を一時的に抑える成分が入っていたり痛みなどを麻痺させているだけで、風邪を治しているのは「身体」なんですよね・・・
薬自体が治している訳ではない、という事も自分は当時知りませんでした。

あんまり書くとあれなのでこれ以上は書きませんが、添加物とか薬剤(西洋医学の端の端ですが)に関して勉強してるうちに、たくさんの世の中の嘘?が見えてきてしまい、そこから「自分なりの」ですが・・・物事の順番とか原理を研究するようになりました。

そもそも腐るって何?カビって何?から始まり、

(詳しくはここでは割愛し別のコーナーを作って「添加物のお話」として解説していきますので、そちらをご参照ください)

一般的に販売されている商品(食品)にはどうして添加物が入っているのだろう・・・!?
と研究していくうちに多くの事に気づき、そして「食べ物の賞味期限」「廃棄」「企業の利益」の問題にぶち当たるのです。

賞味期限が切れた商品は販売できなくなるので廃棄となります。
<ちなみに賞味期限ってのは、この日を過ぎたら美味しくなくなってしまうかもしれませんよ〜っていう期限。(=だからといってこの日を過ぎて食べたからって、あんまり美味しくはないかもしれないけど人体に問題が出る訳ではない)
消費期限は、この日を過ぎてから食べると人体になんらかの影響が出てしまうから、この日までには食べてくださいねっていう期限です。>

廃棄となると勿体ないですし、仕入れにお金がかかっているのでお金を捨てるのと同じ事になります。
そうしたら出来るだけ賞味期限は長い方が喜ばれますよね。買ってもらえる確率が上がる訳ですから。


こうして賞味期限の短い商品はお店に仕入れてもらえなくなり、長い商品が好まれる → 
賞味期限を伸ばす必要が出てくる →
味が落ちないようにする、もしくは腐らないようにする必要が出てくる!という事で添加物の登場です。

ちなみに全ての添加物が「悪」な訳ではありません。
例えば、ビタミンCが豊富なアセロラの粉末だって添加物になるので一概にはそんな事は言えません。
(じゃあ添加物って何なの?誰が決めてるの?→厚生労働省な訳ですが疑問は色々つきない)

以下はわかりやすくする為に簡単に書きますが、腐らないようにする為には添加物を入れて腐る要素(カビなどの細菌の増殖)を抑えれば良いのです。

そうすれば食べ物は腐りにくくなる → 日持ちするようになる。という訳です。

という事は普段、私達が食べているものには添加物がけっこー入ってるっぽいけど、それってカビが食べないものを食べているって事なの?

それって身体に悪くないの?って調べると、無害な物から少量ならば無害、海外では有害だから禁止されているがなぜか日本だけOKなものまで色々とある事がわかりました。
とは言え、一口食べたら害が出る訳ではなく・・・

殆どの毒物は肝臓で処理されますが、処理しきれない毒物は体内に蓄積されたり、排出時に腎臓を傷めたりする場合もあるらしいので、、、場合によっては蓄積され人体に害を成す可能性も生まれるという事がわかりました。

ーーー添加物のお話はこれでおしまい。

そんな事を研究してるうちに、日持ちさせる為に、美味しくする為に添加物をたくさん入れるのは簡単なのですが、こんな添加物をラットに大量に摂取させたらこんな姿になってしまいました・・・なんて強烈な写真がネットにたくさん上がってまして・・・それを観てしまうと・・・と言っても、人間の体は大きいのでその何倍も摂取すれば・・・ですが、ああなってしまう「可能性が」生まれるとわかってしまうと、市販されている一部のパンの危険性にも気づいてしまい・・・

売上を上げる為に、添加物をたくさん入れて賞味期限を延ばした象の耳を自分はお客様に自信を持って勧める事が出来るだろうか!?

無理!
売上を上げる為にそんな事はできない!
という結論になりました。

じゃあ、どうしよう!?
出来るだけ美味しさを維持できるように極力添加物を使わずに改良するしかない!
仮に添加物を使うとしても安全なものだけの使用に留めよう、と心に決めました。

先ほど記載したように毎日様々な業者さんから
「こんな粉を使ってみませんか?」
「これを入れるとふかふかなパンが作れますよ」
「こんな材料があるのですがどうですか?」
と連絡があるので話を聞いてサンプルを頂いては試作に使用し、またその成分の検証を繰り返しまして。

この頃から、この粉をこれ位入れるとこの材料とこんな感じで化学反応を起こすからこう変化して、そうしてこんな食感を生み出すはず、という推論を立ててから改良を繰り返す日々が始まり・・・

そして極力自然の成分から出来た新たな材料を使う事で(その代わり材料費は各段に上がりましたが)象の耳は冷めても硬くなりにくい生地に少しづつ変貌を遂げていったのです。

例えば・・・砂糖と主に呼ばれている糖類は硬くなるのを防ぐ(=保水)の役割もあるので市販の砂糖の10倍位する高価なものを使う事にしたり、トランス脂肪酸の危険性を知ってからはマーガリンやショートニングは絶対に使わんぞ!って誓いオリーブオイルを使用する事にしたり。

そんな感じでリピーターを増やす為に!改良版の生地が完成しつつあったある日~

当時の看板類の全てのモデルをやってくれていた当時の飲み友達(今は恐れ多くてそんな事は言えませんが・・・)が高井戸店に遊びに来てくれました。
そうです、当時はまだ無名だった「吉田 羊」さんです。

この時の彼女の来店がこの後の変革のきっかけになったのでした。

<つづく>

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