2023.1.5 第2章~6話:寝耳に水。

自分のバンドの曲が入ったCDが全国発売されたものの、メジャー会社と契約は出来なかったので生活費を稼ぐ為に象の耳は続けなければならなくなりました。

当時、私の本業はバンドであり象の耳は副業でした。
年齢は31歳。年齢的に働き口もあまりなく移動販売業ならば自由がききそうだし、象の耳は出来立てが一番だから持ち帰りの多い移動販売よりフードコートで営業した方が合っているのでは!?とも考えたのですが・・・問い合わせをしてみても「実績が無いと無理です。」「個人事業主との方とは契約できません」門前払いの連続でした。

デパートの店頭や遊園地、イベント施設、いろんな場所で営業させて頂こうと電話をして交渉したのですがなぜか全部門前払い。

なんでだろう?と原因を調べてみると・・・移動販売業をやっている人でも色んな方がいるようでして。
営業の約束をしても雨が降ったら勝手にドタキャンする人、営業が終わったらゴミとか散らかしっぱなしで帰ってしまう人など〜・・・
当時、キッチンカーが出始めの頃はどこでも重宝されたみたいなのですが、様々な問題が露呈し被害を被った営業先が警戒するようになったみたいなんですよね。
なので何処の馬の骨ともわからん業者には営業させないぞ。という企業が増えたので自分ごときが飛び込みで営業をかけても100%無理だった事が判明。

なのでこれを覆す為には営業を続けて実績(売上と知名度アップ)を作るしかありませんでした。
借金の返済もまだありましたし。(←これが一番かも。)

毎日毎日、象の耳の試作を繰り返しては失敗作を食べて飢えをしのぎ日々~バンドの曲作り、練習、ライブ、そして空いた日は全てバイトで休みはまったく無し。
CDが全国発売されても契約の関係で印税はほとんど入ってきませんでした。

なのでお金は全然ありません。毎日毎日、象の耳の失敗作を食べて飢えを凌いでました。
ですので恐らく栄養面的にも肉体面的にも当時、体調は良い状態ではなかったのだと思われます。

ある日の事。
目が覚め、起き上がろうとすると
体が動かない・・・なんで??

布団が重くて持ち上げられない・・・どうして??

熱も特に無し。歩けないし動けない。布団から出られない・・・
原因が完全に不明。。。

バイトにも行けず休まざるを得なくなり~ひたすら休養。
・・・数日寝たきりだったのですが、ろくに動けない・・・

そしてそんな状態の中、ライブの日が近づいて来たのですが体は一向に回復しない。
立ち上がるのがやっと・・・

しかしライブは休めません、お客様が来てくれる訳ですから。
バンドのメンバーにも、象の耳のせいで活動が疎かになったとは思われたくないですし。

お世話になっているお医者さん(過去に出てきたI氏)がいる病院へなんとか行き、無理やり点滴を打ってもらい体がなんとか動くように!

そして、あの日は忘れもしない高円寺のGEARというライブハウスでのライブ中でした。
爆音の渦の中で歌(?)っていたのですが、ギターアンプの「ファン!!!」というハウリングの音と同時にいきなり左耳に強烈な耳鳴りが!

そして耳の中に水が入ったような感じになってしまい・・・
打ち上げにも出ずまっすぐ帰宅し布団へ一直線。
すぐに治るだろうと思い特に何もせず翌日も再びダウン・・・耳鳴りも治らず・・・

更にその翌日、あまりに耳鳴りがうるさい為にこれはまずいかも・・・と思い耳鼻科へ。

すぐに病院へ来なかった事を怒られました。
そして色んな薬を沢山出され、2週間~耳栓をし無音の生活を命じられました。
薬も6時間の間隔ぴったりに飲めと言われ、寝る時間も調整。

数日後~ようやく耳鳴りが止み、
水が入ったような感じも取れました!

治った!!!
私はヴォーカル担当だった為、耳を殺られるのは致命傷なのです。

そして体調も一ヶ月弱の休養でなんとか戻り、同じような生活を繰り返しておりました。
食生活は改善しようにもお金がないので改善のしようがありません。
そしてまた再びあの高円寺のGEARでライブがありました。

耳を壊さないように、気をつけていたのですが・・・

ライブ中~爆音の渦に飲まれていると、
左のモニターからどでかいハウリングの音が出た瞬間、

またあの耳鳴りが!!

さすがに翌朝、急いで病院へ行ったのですが、今度は治らないかもしれないと言われまして。

再び薬を飲み、耳栓をして無音の生活を数日過ごしたのですが数日で耳鳴りと耳に水が入ったような症状消えたのですが・・・

左耳の音の聞こえ方が明らかに変なのです!

聞こえない訳ではないのですが、人の声がドキュメンタリー番組のスリガラスの向こう側の人みたいなくぐもった声に聞こえてしまうのです・・・

再び病院へ行き、検査。
左耳だけ聴力が激減。
しかも高音はほとんど聞こえない。。。
右耳は正常。
つまり左耳と右耳で聞こえ方が異なるのです。

日常生活にはあまり支障は無いと言いますか・・・会話の繋がりと口の動きでだいたいは相手が何を言っているのかわかるので・・・
しかし、歌を歌うには不便すぎる・・・
右耳と左耳で聞こえる音が異なる訳ですから。どっちの音が正しいのかよくわからなくなってくるのです。

まぁこんな事がありつつも、生きる為にはお金が必要な為、ある程度は体調がよくなってきたので休んでる暇もなく!
毎日、バンドと象の耳の二束の草鞋生活をこなしてました。

ちなみにこれを書いたのは、自分の不健康自慢がしたいのではなく、
後にこの出来事が私の人生に大きな爪あとを残す事になるからなのです・・・

つづく

あげ焼きパン象の耳へのお問い合わせはこちら
上に戻る