2023.4.29 第3章~8話:お宝探し~大家さんちへ突撃(後編)

道を曲がるとそこには、よくテレビで見るような立派すぎるゴミ屋敷が鎮座しておりました。

本物を見たのは生まれて初めてです。

庭の隙間という隙間に色んな物がみっしみしに詰め込んであり、なんか臭うし・・・
やばい雰囲気しかありません・・・

危険だ!この家は危ない!やばい!普通じゃない!
引き返すべきだ!


そう直感が囁いてます。

なんか異次元の世界に迷い込んでしまったような、漫画みたいだな~って自分に同情しつつ・・・もうそれを通り越して自分でもちょっとおかしく感じてきました。
と、同時にこの家に住んでる人が大家さんになるのか・・・大丈夫かな~・・・と不安な気持ちにも当然なりましたが。

でもここまで来たら諦める訳にもいきません。
家の門にはインターホンがついていたので勇気を出して押しました。

「はい・・・」と暗い声がインターホンから聞こえてきました。
また突然の来訪の非礼を詫び、一から物件の話と一連の流れを説明すると、

「あ・・・あれか・・・弟に管理を任せてるからそっちに聞いてください・・・・・・」
と暗い声で返されてしまいまして・・・

う〜ん・・・

これはなんか辞めておいた方がいいかもな・・・この一族なんかやばいぞ。

もうあの物件で工場兼店舗を構える想像をしまくっていたので、その未来の想像が音を立てて崩れ落ちていきました・・・

その時は自分の将来すらも終わってしまったような気になり、
諦めるのは嫌いですが、これはもうなんかダメな感じしかしなかったので<この物件は諦めよう!>そう決断できました。

手土産に用意したコージーコーナーのクッキーをやけ食いしながら半泣きで帰宅したのを覚えてます。

その日はやけ酒飲んで落ち込みつつ後半は気持ちを切り替えて!
これは諦めたのではなく勇気ある撤退なのだと自分に言い聞かせ!
うじうじしている時間が勿体無い!
そう次へ行こう!次だ次!

そうと決まれば他の物件を探すしかありません。

そうだこれは、もっと良い物件があるはずだから探せ!という神様のお告げなんだ!
と思う事にして(笑)翌朝から新たな物件探しを始めました。

そして色々調べてるうちに相場がわかってきたのですが・・・・

予算的に工場を作って同時に何坪かの店舗を構えるのは不可能という決断になりまして。
なので、その物件は工場として稼働させ店舗は諦め、今あるキッチンカーで営業に出つつフランチャイズ加盟店に生地を卸す方向で進めて行く事にしました。

そして色々な手を使って調べまくって知人のご助力もありその数日後に、
井の頭線の高井戸駅(杉並区)から徒歩3分の物件を見つける事が遂に出来たのです!

二階に大家さんが住んでおり優しい感じの方で即決でした。

そこからはもう早かったです!
物件が決まったら定款にその住所を記載し公証人役場で認めてもらって(費用が約16万、そういう段取りが必要なのです)、法務局へ書類を持って行き登記完了!(申請費用は約10万)

平成19年3月1日、株式会社ZOOの誕生です!

ですが感動に浸っている暇はありません。
すぐに工場が稼働出来るようにする為に、そしてどんな工場にするべきか、業者さんに頼める予算はあまり無いので自分でやれる事はやらないといけないので!

お借りした空っぽの物件へ行っては、その中で時にニヤニヤしながら、時に数年後を想像しながら、工場の中の機械の配置とかを自分で考えながら極力~低予算で工場が作れるように、そして無駄な導線(通り道)を作ってしまわぬように、何時間も何十時間もかけて何度も何度も図面を引き直しました。

つづく

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