絶望の淵にたたされた私は何か手は無いかと必死に考えました。
しかし、この時点でまったくもって手がかりは無し・・・
屋台が出るのは土日のみです。
月~金は屋台は営業されないのでこの期間、指を咥えて週末を待つのは時間がもったいない!
何かしよう!動けば何かが変わるかもしれない!
なのでこの月~金の間はほとんど外出もせずに友人宅でアメリカの材料を購入し試作試作試作試作・・・・
アメリカの小麦粉なら作れるかもしれない!と思ったのは気のせいでした・・・
そして日曜の早朝には出国が決まっていたので滞在日数が残り3日!となった時です。
宿泊させてくれていた友人Kの友人姉妹の姉の彼氏さんが「象の耳の作り方を知ってるらしい」という情報を友人Kが持ってきまして!(彼は学校で皆に聞いてくれていたのです。感謝です。)
さっそくその友人姉妹のお姉さんの彼氏さん・M氏(当時33歳)を紹介してもらいました。
とても生真面目そうな眼鏡をかけた7・3分けの色白さんです。
彼にこれまでの経緯を話すと「それはすごい!力になるよ!明日(友人姉妹の)家に来るんだ!作ってあげるよ!我が家では代々これが受継がれてて、よく家族で作るんだ!」そう言うと象の耳を自分の目の前で作ってくれる約束をしてくれました!!
やった!来た甲斐があった~!!
神よありがとう!ビバ、アメリカンドリーム!
そして翌日。
友人姉妹の家に行くと、ほどなくしてM氏とその友人達4人がぞろぞろと登場。
この友人達、あんまりまじめそうじゃないけどなんだか楽しそうな雰囲気の方達でした。
さっそくM氏は、材料を用意し注意点を説明してくれたので言われた事を必死にメモしました。
みんなの見ている前でM氏、いざ調理開始!
M氏が用意した材料には、自分の中では入れてはいけない物リストに入ってるモノがあったので、
そうかそうか!!
そこが間違いの原因だったのか~と納得!
しかし・・・・・
作り始めたM氏の手つき、粉を混ぜる動作、全てになぜかあまりにも無駄がありすぎるのです・・・
どう見ても、しょっちゅう作ってる人の動きではない!
こいつ、初心者だ!!
しかも、その行動を見ていると自分の彼女へのアピールが凄かったのです。(僕はこれだけ君の妹の友人の為にがんばってるんだぜ!って感じです)
だからあんまり助けちゃうと彼の面子を潰す事にもなると思い、途中から完璧に落胆していたのですが顔には出さず感心するふりをしていたのですが・・・
ほどなくして予想通りのとんでもない失敗作が完成。
M氏の楽しそうな友人達はさっきから裏庭で何かをやっていたのですが、M氏は我々に謝る事もなく何事もなかったように裏庭へ行き楽しそうな友人達と合流。
友人姉妹は自分に謝り始め・・・
しばらくしてから、ちょっと目が虚ろになったM氏が裏庭から戻って来まして「あ~!一つ大事な事を忘れてた!」
「次は大丈夫だよ!!」
そう言ってちょっと目が虚なM氏はまた生地をこね始めました。
奈落の底に突き落とされた気分だったのですが安堵!!
そして、さっきは何が間違ってて、次はどうするかを説明してくれたのですが・・・
一ヶ月〜毎日毎日、何十時間も生地をこねていた自分には瞬間的に
「こいつ全部はったりだ!」
と悲しいかな見抜けてしまったのです・・・
しばらくしてM氏の楽しそうな友人達が、余計に楽しそうになって裏庭と家をふらふら往復しだしました。
この人達・・・・
見ると裏庭で何かを吸ってるじゃありませんか・・・(非合法的な何かです)
そして、生地を揚げている間にM氏も裏庭へ行き楽しそうな友達と合流。明らかにさっきと様子が違う・・・
こいつまで・・・なんか吸ってるし・・・
いや、さっきの時点でもう吸ってたし・・・そんな状態のM氏が作り直した象の耳が完成したのですが・・・
それはそれは見るも無残な失敗作の出来上がりでした・・・
目がかなり虚ろなM氏、急に象の耳の製作に飽きたようでプレステのサッカーゲームで勝負しよう!と誘ってくださりました。
・・・・・謝る姉妹。
あきれかえる我が友人・・・
「帰ろうぜ・・・」
愉快そうな友人達と大騒ぎしながら、虚ろな目でプレステをやるM氏。
我らが帰ろうとしても目もくれずゲームに夢中・・・
・・・私達はため息をつきながら帰路につきました。
この時、少し自分に同情しました。
帰国までの残された時間は実質あと1日・・・
つづく