2023.1.10 第2章~21話:完全なる偶然の産物③

あの日の出来事は色々な意味で鮮明に覚えています・・・
凄く強い雨が朝から降っていた日でした。

・・・そして話は、二度目の実験の為にF社へ向かう数日前に戻ります。

当時からブログとHPを多くの友達に助けてもらいながら運営していたのですが、象の耳を過去に食べた事があり、味や名前に興味を持って頂けていた方からHPを通して象の耳を売ってみたいからフランチャイズのような仕組みはないですか?と問い合わせを頂いたのでした。

いつかはやりたいな~位に思っていたFC(フランチャイズ)。

『 フランチャイズとは!? 』
<基本的には1号店が凄く繁盛したから、そのコピー店を増やして行こう!という考え方で、
本部は加盟店を募集し契約、本部は加盟店に看板(名称)、商品を販売するノウハウや材料などを提供する代わりに、加盟店は加盟時には加盟金、そして毎月ロイヤルティという名の名称使用料などを支払う。

加盟店側が物件を借りる時の初期費用や毎月の家賃、人件費等は捻出する為、本部は費用を支払う事なく店舗を増やしていく事が出来るので、お互いに協力しながら店舗を増やす事で知名度を上げつつ(信頼度も)売上も上げて行く仕組みである。

例えば有名コンビニ、有名飲食チェーン店はFC加盟店(フランチャイジー)である事が多い。
まったく専門的な知識や技術等がなくても本部が全てサポートしてくれるので店舗を開業できるのが加盟側にとっては最大のメリット。(その代わり有名店であればある程、毎月のロイヤルティーの支払いは高額になる事が多い)
直営店を増やしていくよりも早く店舗を増やせるので、仕組みが出来上がれば多店舗展開と毎月のロイヤルティ収入の確保が出来るのが本部にとってはメリット。>

どのお店に行っても同じ商品&サービスが受けられるという安心感、店舗が増える事による知名度アップ等、メリットも大きいのだが多くのFCは完全に商売のやり方をパッケージ化してしまう為(1号店のコピーを増やすという考え方な為)に一切の自由が無い事が多い。

加盟店側は「言われた通りにしていれば良いから何も考えなくて楽。」なのか、自分の店なのだから自分のやり方も営業に生かしたい!と思うかで色々と難しい側面も持つ場合もある。
本部と加盟店でトラブルが多いとも聞くし・・・

移動販売車で様々な場所で営業していると他社のフランチャイズに加盟されている移動販売業者の方にも数多くお会いする機会がありました。
いつかはやりたいと思ってはいたので、その際に皆様のお話を聞いてみると声を揃えて言っていたのは~

・本部の言う通りに営業しなくてはならず、まったく自由が無い。
(加盟店は1号店のコピーなので加盟店に勝手な事をされたら困るからです)

・本部から材料を購入しなければならず、非常に割高で買わされる。
(そうやって味がぶれるのを防いでいるのかもしれません)

・新メニューを思いついても本部から許可が降りない為に売る事が出来ない。
(それが不味かったらブランド力失墜ですからね・・・)

・高額のお金を支払って車を購入し、確かに商品の作り方は教えてもらったが、、、営業場所を指定されそこで営業して売上の大半をロイヤルティとして本部にもっていかれてしまい手元に残るのはわずか。これでは社員と代わらないではないか!
(だいたい本部が一番儲かるように作られてますからね・・・)

・営業場所を紹介してくれるというから安心して加盟したのだが、良い営業場所へは本部の車が行ってしまい、あとは順番に良い営業場所は古株の加盟者にあてがわれ、新しく入った人は集客力が全然無い場所しか紹介してもらえないという現実にがっかり。
(営業可能な場所と、集客力のある営業場所は別ですからね・・・)

などでした。
はっきり言って加盟して良かったと答えている方は一人もいませんでした。
(しかし、加盟しなかったら開業まで果たして一人で漕ぎ着けられたのでしょうか!?という疑問も残りますが。)

なので、自分がフランチャイズ本部をやる時は上記のような事はやらず、もっと加盟して下さった方にも喜んで頂けるような仕組みを作ろう!そう決めていました。

ですがそれは、いつか出来たらいいな。位で考えていたので仕組みの概要すら出来ていません。
しかし・・・実際に問い合わせが来てしまいました!

実際問題としてFCを開始するには、たぶん3つの要素が必要と思われます。

1、商品そのものに独自性がないと意味がない。
(何処のお店に行っても買える商品では、FCをやりたがる人はいないだろうし)

2、例えば・・・作れるようになるまで10年修行しないといけないようでは、たぶん誰もやろうとは思わないでしょう。
→作業が単純じゃないとアルバイトやパートさんを雇って店舗をどんどん増やしていく事が出来ない。
だから仕込みを含めて、作るのがある程度簡単じゃないとダメなんじゃないか。

3、誰が作っても同じ味になること。じゃないとお店ごとに味が異なる商品が出てきてはFCの意味がないし。

しかし今までの象の耳では生地を捏ねたり延ばしたり、更に生地の発酵具合の見極めも出来ないとダメなので、多くの技術と経験が必要となります。
研修という名目で修行してもらえば出来なくはないですが、ちょっと現実味が薄い。これじゃあ到底FCなんて無理!

しかし、F社での1回目の実験でこれらをクリア出来る糸口を見つけたのです!
それが何かは企業秘密という事で。。

そう、F社での二回目の実験が成功すれば上記の3点が一気にクリア出来るのでは!?
「今までの生地の欠点の克服」と「FC開始」の2つが同時に手に入るかもしれないのです!

そんな都合の良い製法があるのか!?
あるんです!

あの苦し紛れに思いついた方法なら出来てしまうかもしれないのです!

そして先程の象の耳のFCをやりたいという方とはメールで頻繁にやり取りをしていたので、正直に現状は伝えていたのですが・・・二回目の実験の結果次第では、もしかしたらFCを始められる可能性が生まれるかもしれません。という内容を伝えると、F社での実験の後に会いませんか?とのアポイントを頂く・・・

なんだこの展開は。

そんなこんなでF社での二度目の実験の日。
午前中に1時間だけ実験室をお借りし、午後にはそのFC希望の方とお会いする段取りとなりました。

今回は申し訳ないのでスタッフさんはいりません、と伝えていたのですがFさんが「それじゃあ、機械を動かせないでしょ・・・」と気を使って下さり今回は2名スタッフの方をつけて下さりました。

お金を一銭も払っていないのに本当に有難いのやら申し訳ないのやら色々うまくいったら機械は今後F社から全て購入しよう。そんな事を思いつつ実験開始!

今回ははっきりと何をするかが決まっていたので嫌な汗をかく必要もなく(笑)
頂いた時間を有効的に活用する為に前もって決めた段取り通りに実験を進めました。

要は不思議なオーブンと機械XとZとあれをあれした融合技が功を成すかなのですが、
予想通り!
私の目論見は当たり、実験開始20分後にはその時に抱えていた問題のほぼ全てを克服した〜
「新しい象の耳」がついに!
ついに!
ついに!
ついに!
ついに誕生したのでありました!

本当はこの時の状況を詳しく書きたいのですが、あんまり詳しく書くと生地と製法の秘密に触れる事になってしまうのでこんな感じでお許し下さい。

なんだこの食感は?
前のより全然美味しい!
焼いて油が飛ぶから全然油っこくない!
焼いているからサクサク度がアップしてる!!
そして・・・簡単に誰でも作れるし数倍早く作れる!!
今までがバカらしくなる位に簡単じゃないか!!

この作り方ならば、工場(仮)で揚げてから機械XとZである事をしてから○○●●。

特殊○○●●し、店舗側は特殊●●○○!

そしてお客様から注文を受けたら○●○●で完成!
物凄く作るのが簡単になるではないか!
生地は同時に8枚まで焼けるという事は・・・

初期の象の耳は1枚揚げるのに3分だったので8枚揚げるのに単純計算だと24分。
新しい象の耳は8枚でも90秒!(ちなみに現在は120秒に変更)
16倍も早く作れるようになったではないか!!

素晴らしすぎるぞ新製法!これなら誰でも作れる!!
味のブレも一切無し!!

一気にフランチャイズが形となって見えてきました!
未来が一気に拓けた瞬間。

もがいて、あがいて、じたばたして、ようやくようやく見つけた新製法。

自分の知る限りではこんな製法のパンは世界中に無いはず!
つまりは世界初の製法を発見してしまったかも!!
(あとでちゃんと調べました。今のところ世界初の製法です)

初めから無理だと諦めていたら絶対に見つける事は出来なかったでしょう。

きっと見つけられる。
答えは必ずどこかにある。
諦めずに信じ続けたらから辿り着けたのかもしれません。

色んな出来事が、そして今までの全ての経験が収束して結実した瞬間だったと思います。

そんなこんなで皆様にお礼を伝えF社を後にし、FCやりたい!って方と大雨の中でお会いし結果を報告。

「FCが技術上、可能となりました!」
「本当ですか!?」

こうしてフランチャイズの仕組みが出来上がったら一緒に販売していきましょう!的な感じとなり、いつかの再開を約束し握手をして解散。

新製法の開発成功により長い長いトンネルをやっと脱出する事ができました。
これでフランチャイズ化も現実味を増し、美味しくなり提供時間も大幅に短くなり、冷めても前に比べれば随分と劣化が落ち、そして焼く事で油が飛ぶので大幅に油っこさが無くなりました。

もう完璧だ。
これで自分の人生は軌道に乗った!やっと大金持ちになれるぞ!と、この日はわ~いわ~いと浮かれまくっていたのを覚えています。

こうして自分は今度こそ、やっとスタートラインに立てたのかもしれません。


第二章<完>


しかし本当の地獄はこの先に待っていたのですが。

つづく

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