ホームレスな自分にある夜、突然電話がかかってきました。
電話の主は、震災前のフランチャイズを募集していた時期に知り合い、仲良くさせていただいたある会社の代表のiさん。
このiさん、学生時代は演劇をやられていたとの事なのですが、その時の同期のお友達からある相談を受けたとの事。
その相談内容的に、
『象の耳の新しい仕事に繋がると思うのだけど、話を聞いてみない?』
『はい!是非!』と即答し、その方の事務所へ伺うと・・・(勿論、ちゃんと銭湯へ行き数少ない服を洗ってから着て綺麗な身なりで行きましたよ)
そのiさんのご友人は韓国出身の女性の方で、杉並区の上の方でお母様と本場の韓国料理が食べられるカフェを営んでいるとの事。
最近はアニメの声優をはじめたとの事で
『ターンAガンダムって知ってる?』
『もちろんです!』(こないだ見たばっかり)
『その主人公をやってて・・・』
『え。』
『最近は鋼の錬金術師って知ってる?』
『もちろんです!こないだ全話見終わったとこです!』
『それも主人公やってたらしいんだけど、わかる?』
『え。。朴路美さんですよね?』
『あ、知ってるんだ!?あいつ有名なの?最近、BLEACHってアニメもやってるらしく忙しくなってきたから、知人に店長を任せててお店にほとんど入れないんだって。
で、お母様は韓国料理専門らしいから、その店長さんでも簡単に作れるパン系の商品を取り扱いたいんだって。で、象の耳はどう?って勧めたら一回試食したいから移動販売車でそこへ行って、朴に焼きたての象の耳を食べさせてもらえないかな?』
『もちろんです!』
そんな感じでいきなり朴路美さんご本人に象の耳を食べてもらうという夢のような日取りが決まり、その日に向けての準備が始まり、あっという間にその日がやってきました。
21時にそのお店で!
との事だったので、何度も改良を繰り返した最新版の象の耳を車に積んで、朴さんのお店へ到着。
本当にご本人様が現れるのだろうか?
これ、自分よりアニメが好きな方にはきっと・・・とんでもなく凄い事なんだろうな〜なんて考えているとお母様が現れ、2階にあるお店に通してもらうと・・・
店内の壁一面には自分でも知っているような超有名な声優さんや超有名な漫画家さんご本人のサインがずらり。
ワンピースの尾田栄一郎さんやBLEACHの久保帯人さん、鋼の錬金術師の荒川弘さん、名探偵コナンの青山剛昌さんとか他にもたくさん。
すげーすげーすげーと興奮していると、遅れて朴さんご本人様が本当に登場。
なんてお綺麗な方なんでしょう。
あまりファンである事を強調しすぎてもあれなので、鋼の錬金術師・全話見ました、とだけ〜さらっとお伝えし、あとは『仕事で来ました』感を強調。
iさんと朴さんが仲良く近況報告やら、近いうちに朴さんは声優学校を立ち上げるらしいのだがiさんに一緒にやらない?などとお話ししているのを邪魔にならないように気配を殺してひっそりしてました。
で、しばらくしてから象の耳の話になり〜
『楽しみにしてたのよ。早速食べさせて!お腹空いてるし!
でもお店で取り扱う商品だからダメなものはダメってハッキリ言うけどいい?』と聞かれまして。
『もちろん、容赦ないダメだしをお待ちしております』
そうお伝えし、外に停めてある車へ行き象の耳(シナモンシュガー)を作ってダッシュでお店へ戻り焼きたてを朴さんに渡しました。
『へ〜これが象の耳なんだ〜』
と言いつつかぶりつかれまして。
『なにこれ、美味いじゃん!』
『いやまじで美味いよ』
その後です。自分が鋼の錬金術師を全話見たと伝えたからなのでしょうが・・・
主人公のエドワード・エルリックの声質で、
『おい、象の耳ってまじでうんめ〜な〜!』って言ってくださったんです。
目を瞑ればエルが!
エルが象の耳を誉めてくれてる!
最近は良い事が何も無かったので沁みてしまい、思わず泣きそうになってしまいました。
『独りでこれを作ったんだ・・・凄いね、美味しいよ』
と今度は朴さんがおっしゃってくれました。
どこまでを知っていて、何をiさんから聞いていたのかまったくわからないのですが、全てを悟って言ってくださったように自分には聞こえました。
『逆にこんな美味しいパンをうちみたいなお店で扱わせてもらっていいの!?』
「勿論です!」
『本当に!嬉しい!じゃあ今度、店長を紹介するから詳しい事はその子とやって。
明日の本読みしたいから先に帰るね。』
と言って最後にまさかのハグをしてくださりました。
(銭湯行っておいて良かった・・・)
で、その日は解散となり帰りの運転中、なんか日々の行いのご褒美がもらえたようで涙が止まりませんでした。
そのお店で象の耳が取り扱ってもらえたらワンピースの尾田先生だったり、色んな方々に今後は食べてもらえるかもしれない訳です。
なんか未来が開けたように思えました。
で、翌週にまたそちらのお店にお呼ばれし店長さんをご紹介いただきまして。
以降は店長さんとやり取りして、朴さんカフェに象の耳が取り扱ってもらえる段取りだったのですが、数日後には店長さんと連絡が取れなくなってしまって、
『?』
『?』
『?』
となっているとiさんから電話があり、(要約すると)『朴のカフェだけど色々あって訳あって閉める事になったんだって。なんかごめんね〜・・・』
・・・いい夢見れたな・・・
人生いろいろありますね。
大丈夫。私はまだ生きてるじゃないか。
<つづく>
