2025.11.8 第4章~5話:全国キッチンカーグルメ選手権

2011年の夏、キッチンカー営業の帰り道。
そのポスターをどこで見かけたのかは覚えていないのですが、そのポスターには「全国キッチンカー選手権大会・開催!」と記載されており、すぐに写真を撮ってネットで検索!

開催している会社が震災前にお世話になっていたキッチンカーの派遣会社だったので、担当の方にすぐに電話しました。

当時の担当の方は偉いポジションになられていて、お久しぶりです〜最近は・・・!?なんていう世間話から入り、お互いの・・・というか震災後の周囲の状況報告をしたり(当然、自分はホームレスですとは言えないので、ぼちぼちやってます〜みたいな感じで伝えましたが)してから、キッチンカー選手権の話題にし参加方法を聞いてみました。

予選があってから本戦となり、本戦の決勝大会は2011年11月12日に埼玉スタジアムで行われるとの事。

ここからは長いし面白くないので割愛し、
予選を楽々クリアしての11月の決勝当日!



まだ早朝すぎて真っ暗な時間に埼玉スタジアムへ向けて出発し本戦開始!

初めての営業先なので当然、常連さんはゼロ!
完全にアウェイだが、きっとどこの店舗も同じ条件。

今回はルールがあり、お客様はチケット制となっておりチケットを1枚400円か、1000円で3枚セットを事前に購入してチケットと商品を交換。

お客様から頂いたチケットの枚数(つまりは売上)と投票で選手権の順位が決まるとの事。

1食が400円なので象の耳の場合、シナモンシュガーなどは当時220円で販売していた為に400円だとお食事系にしないといけないな〜という事で、当時人気のあったクリームチーズ&オニオンベーコンと特製トマトソースのハーフ&ハーフで勝負に出る事にしました。

朝の10時から営業開始!
皆さんにとっては初めて見る食べ物なせいか、すぐにお客様がわらわらといらしてくださったので、あっというまに行列が。


一人で営業していると接客があるので当然、営業風景とか行列が出来ている映えそうな写真なんか撮れません。(右端の写真は運営の方が撮ってくださっていたものを拝借)

とにかく長い行列が途切れる事もなく、持参した生地600枚は終了1時間以上前に完売。

お客様からもたぶんここが1番行列が長いよと言われていたので、もしかしたら優勝しちゃったんじゃないの〜なんて思っていたのですが・・・

この大会、ジャンルが3部門(ご飯の部、軽食の部、スイーツの部)あり営業というか大会終了後に3つの部門を合わせた総合部門の上位3車が表彰されるとの事。
(象の耳は軽食の部)

総合優勝は普段は1300円で販売しているピザをチケット1枚分(400円)で交換していた窯焼きのピザ屋さん。
準優勝が普段は1500円で販売しているローストビーフ丼をこちらもチケット1枚で交換していたローストビーフ屋さん。
3位は普段は600〜800円で販売しているジェラートをチケット1枚で販売していた完全自家製のジェラート屋さん。

あとで主催社の担当の方から聞いたのですが、上位の店舗はどの車もいつもよりお得に買えたという事で購入者が多かったのと、
人気投票では、自分の車の名前を書いた用紙の写メを見せると商品を1つ無料配布というのをやられていたようで投票数が伸びたとの事。

その方はお電話で『なんかやりたかった事と違うし公平じゃない!来年からは投票方式を変えます!』とお怒り気味でした。

お客様を集める為にはそんな手があったのか!
赤字でもキッチンカーグルメ選手権・優勝!の称号があれば後で元が取れるという計算なのでしょう。

頭いいな〜と感心しつつ、象の耳は元の単価が低いのでそれは出来ないし、そんな作戦思いつきもしませんでした・・・


この大会、予選参加が660台
その中から決勝戦に参加出来た車は65台。
甲子園みたいなもんですね。
甲子園に出れただけ良かったとするか・・・

表彰式で象の耳は選ばれなかったので、落ち込んでいたのですが各部門毎の順位は張り出されていたので何位くらいなんだろう〜!?と見に行ってみると・・・

軽食の部

優勝:総合でも優勝されたピザ屋さん。


2位 : 『あげ焼きパン 象の耳

え。


え???

準優勝?


準優勝!?
まじか!!
うぉ〜〜〜!!
と大声で叫びたかったのですが、こらえて車に戻り帰り支度をしていると、
美味しかったです!と何人もの方に声をかけてもらえたり、名刺を下さいと言われたり、ちょっと良い気分に浸れました。

帰り道。
喜びが込み上げてきて車の中でハンドルをバンバン叩いて喜びました。

たくさんの人に認めてもらえた!

今までの努力とか苦労が報われた気がしました。
泣いていたかもしれません。

諦めないで良かった〜・・・

とは言えコロナ期間中だからなのかテレビや新聞、雑誌などのプレス関係者は来ておらず、この日本2位(軽食の部ですが)の称号ってなかなか凄い事だと思うのですが世の中の皆様に知ってもらえる日は来るのでしょうか!?

認められて報われた気はしましたが、結果に繋がらなければ意味が無いのです。

とはいえ、気分が良い事には変わりなく!
ポスター作って準優勝って書いて貼れば、売上が更に上がるかもしれないな〜
そんな事を考えながら帰路についたのでした。

そして、ホームレス開始から8ヶ月後の奇跡はここから始まったのです。

<つづく>

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