2022.6.25 第1章~22話:恐怖の試食会

象の耳という名前の権利が取れるのは時間の問題!
日本でもまだ恐らく象の耳を売っている人は何処にもいなさそう!って日々、自分より先に誰か始めてしまうのでは!?と恐れてネットで検索を繰り返しておりましたが・・・

どうやら似たような商品の販売を開始する人が現れる気配も無く・・・

もし今の自分があの時の自分に声をかけられるならば「全然大丈夫だから!そんなの気にせず試作に回す時間を半分に減らして、出来た時間でバイトして!まずはとにかく食生活を良くして!余ったお金は借金返済に回せ!」なのですが、当時の自分はそこまで色々と余裕が無かったんですよね・・・

この時は「あの現地の味を再現する事さえ出来れば、日本初!の食べ物だし珍しいからめちゃくちゃ売れるに決まってる!」そう思い込んでおりました。

しかし、正直に言いますと・・・
もう試作&試食のしすぎで現地の本家の味をもう忘れてしまっておりまして・・・

しかも、出来た!出来た!と喜んではおりましたが、実は自分が完成させた象の耳は確かにまずくはないのですが果たして本当に爆発的なヒットになる程に美味しいのか!?

現地で食べたのってこんな味だったのか!?

という自分でも考えたくはありませんでしたが、現実的な疑問が湧いてまして。
ずっと1人で約2年間、試作を繰り返していたので〜もう完全に迷路に入ってしまっておりました。

そこで!本物の味を知っているポートランドに住んでいた友人達を招き、試食をしてもらう事にしました!

仕事を終えてから遠路はるばる粉だらけの我が家へ来てくれた友人達。
まったく有難い事です。

今回の試食会に用意したのは売ろうと思っている改良バージョンではなく、現地のモノに忠実に近づけたつもりで作ったものでして。

さっそく現地サイズは大きすぎて家の機材では揚げられないので小型のミニ・象の耳を食べてもらいました。
さぁ友人達はどんなコメントは言うのか・・・?
この二年間の苦労は報われるのか・・・?

「う〜ん・・・」


「・・・なんか違うような」

これが二人の共通の感想でした。
こんなにもちもちしてないよ~
もっと茶色かったよ~

二人はどんどんコメントしてくれるのですが、どうやら似てはいるが何かが違うらしいのです・・・

昔、飲食店で働いていたので食べてくださった方の反応を見れば、美味しいと思ったかそう思ってないのか瞬時にわかるんですよね・・・

確実にこれは後者の反応です。

もし美味しかったら何か現地のとは違うけど美味しいと思うよ〜とか、何かプラスの意見を言ってくれると思うのですが明らかに2人は自分に対して気を使って言葉を選んでる感じがひしひしと・・・

ひきつる笑顔。
えぐられる心臓。
・・・しかし、極力顔には出さず平静を装いました。

彼らの帰宅後・・・再び生地をこねて試作と研究の繰り返しが始まりました。

その夜の生地が少ししょっぱかったのは私の涙のせいかもしれません。

間に合うのか?

移動販売デビューの日まで、この時点であと残り20日となっていました・・・

つづく

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